2018年6月30日土曜日

使徒25

使徒の働き
25章
1,フェストゥスは、属州に到着すると、三日後にカイサリアからエルサレムに上った。
2,すると、祭司長たちとユダヤ人のおもだった者たちが、パウロのことを告訴した。
3,そして、パウロの件で自分たちに好意を示し、彼をエルサレムに呼び寄せていただきたいと、フェストゥスに懇願した。待ち伏せして、途中でパウロを殺そうとしていたのである。
4,しかしフェストゥスは、パウロはカイサリアに監禁されているし、自分も間もなく出発する予定であると答え、
5,「その男に何か問題があるなら、おまえたちの中の有力者たちが私と一緒に下って行って、彼を訴えればよい」と言った。
6,フェストゥスは、彼らのところに八日か十日ほど滞在しただけで、カイサリアに下り、翌日、裁判の席に着いて、パウロの出廷を命じた。
7,パウロが現れると、エルサレムから下って来たユダヤ人たちは彼を取り囲んで立ち、多くの重い罪状を申し立てた。しかし、それを立証することはできなかった。
8,パウロは、「私は、ユダヤ人の律法に対しても、宮に対しても、カエサルに対しても、何の罪も犯してはいません」と弁明した。
9,ところが、ユダヤ人たちの機嫌を取ろうとしたフェストゥスは、パウロに向かって、「おまえはエルサレムに上り、そこでこれらの件について、私の前で裁判を受けることを望むか」と尋ねた。
10,すると、パウロは言った。「私はカエサルの法廷に立っているのですから、ここで裁判を受けるのが当然です。閣下もよくご存じのとおり、私はユダヤ人たちに何も悪いことをしていません。
11,もし私が悪いことをし、死に値する何かをしたのなら、私は死を免れようとは思いません。しかし、この人たちが訴えていることに何の根拠もないとすれば、だれも私を彼らに引き渡すことはできません。私はカエサルに上訴します。」
12,そこで、フェストゥスは陪席の者たちと協議したうえで、こう答えた。「おまえはカエサルに上訴したのだから、カエサルのもとに行くことになる。」
13,数日たって、アグリッパ王とベルニケが、フェストゥスに敬意を表するためにカイサリアに来た。
14,二人がそこに何日も滞在していたので、フェストゥスはパウロの件を王に持ち出して、次のように言った。「フェリクスが囚人として残して行った男が一人います。
15,私がエルサレムに行ったとき、祭司長たちとユダヤ人の長老たちが、その男のことを私に訴え出て、罪に定めるよう求めました。
16,そこで、私は彼らにこう答えました。『訴えられている者が、告発する者たちの面前で訴えについて弁明する機会が与えられずに、引き渡されるということは、ローマ人の慣習にはない。』
17,それで、訴える者たちがともにこちらに来たので、私は時を移さず、その翌日に裁判の席に着いて、その男を出廷させました。
18,告発者たちは立ち上がりましたが、彼について私が予測していたような犯罪についての告発理由は、何一つ申し立てませんでした。
19,ただ、彼と言い争っている点は、彼ら自身の宗教に関すること、また死んでしまったイエスという者のことで、そのイエスが生きているとパウロは主張しているのです。
20,このような問題をどう取り調べたらよいか、私には見当がつかないので、彼に『エルサレムに行き、そこでこの件について裁判を受けたいか』と尋ねました。
21,するとパウロは、皇帝の判決を受けるまで保護してほしいと訴えたので、彼をカエサルのもとに送る時まで保護しておくように命じました。」
22,アグリッパがフェストゥスに「私も、その男の話を聞いてみたいものです」と言ったので、フェストゥスは、「では、明日お聞きください」と言った。
23,翌日、アグリッパとベルニケは大いに威儀を正して到着し、千人隊長たちや町の有力者たちとともに謁見室に入った。そして、フェストゥスが命じると、パウロが連れて来られた。
24,フェストゥスは言った。「アグリッパ王、ならびにご列席の皆さん、この者をご覧ください。多くのユダヤ人たちがみな、エルサレムでもここでも、もはや生かしておくべきではないと叫び、私に訴えてきたのは、この者です。
25,私の理解するところでは、彼は死罪に当たることは何一つしていません。ただ、彼自身が皇帝に上訴したので、私は彼を送ることに決めました。
26,ところが、彼について、わが君に書き送るべき確かな事柄が何もありません。それで皆さんの前に、わけてもアグリッパ王、あなたの前に、彼を引き出しました。こうして取り調べることで、何か私が書き送るべきことを得たいのです。
27,囚人を送るのに、訴える理由を示さないのは、道理に合わないと思うのです。」

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