2018年12月31日月曜日

マルコ16

マルコの福音書
16章
1,さて、安息日が終わったので、マグダラのマリアとヤコブの母マリアとサロメは、イエスに油を塗りに行こうと思い、香料を買った。
2,そして、週の初めの日の早朝、日が昇ったころ、墓に行った。
3,彼女たちは、「だれが墓の入り口から石を転がしてくれるでしょうか」と話し合っていた。
4,ところが、目を上げると、その石が転がしてあるのが見えた。石は非常に大きかった。
5,墓の中に入ると、真っ白な衣をまとった青年が、右側に座っているのが見えたので、彼女たちは非常に驚いた。
6,青年は言った。「驚くことはありません。あなたがたは、十字架につけられたナザレ人イエスを捜しているのでしょう。あの方はよみがえられました。ここにはおられません。ご覧なさい。ここがあの方の納められていた場所です。
7,さあ行って、弟子たちとペテロに伝えなさい。『イエスは、あなたがたより先にガリラヤへ行かれます。前に言われたとおり、そこでお会いできます』と。」
8,彼女たちは墓を出て、そこから逃げ去った。震え上がり、気も動転していたからである。そしてだれにも何も言わなかった。恐ろしかったからである。〔彼女たちは、命じられたすべてのことを、ペテロとその仲間たちに短く伝えた。その後、イエスご自身が彼らを通して、きよく朽ちることのない永遠の救いの宣言を、日の昇るところから日の沈むところまで送られた。アーメン。〕
9,〔さて、週の初めの日の朝早く、よみがえったイエスは、最初にマグダラのマリアにご自分を現された。彼女は、かつて七つの悪霊をイエスに追い出してもらった人である。
10,マリアは、イエスと一緒にいた人たちが嘆き悲しんで泣いているところに行って、そのことを知らせた。
11,彼らは、イエスが生きていて彼女にご自分を現された、と聞いても信じなかった。
12,それから、彼らのうちの二人が徒歩で田舎に向かっていたとき、イエスは別の姿でご自分を現された。
13,その二人も、ほかの人たちのところへ行って知らせたが、彼らはその話も信じなかった。
14,その後イエスは、十一人が食卓に着いているところに現れ、彼らの不信仰と頑なな心をお責めになった。よみがえられたイエスを見た人たちの言うことを、彼らが信じなかったからである。
15,それから、イエスは彼らに言われた。「全世界に出て行き、すべての造られた者に福音を宣べ伝えなさい。
16,信じてバプテスマを受ける者は救われます。しかし、信じない者は罪に定められます。
17,信じる人々には次のようなしるしが伴います。すなわち、わたしの名によって悪霊を追い出し、新しいことばで語り、
18,その手で蛇をつかみ、たとえ毒を飲んでも決して害を受けず、病人に手を置けば癒やされます。」
19,主イエスは彼らに語った後、天に上げられ、神の右の座に着かれた。
20,弟子たちは出て行って、いたるところで福音を宣べ伝えた。主は彼らとともに働き、みことばを、それに伴うしるしをもって、確かなものとされた。〕

2018年12月30日日曜日

マルコ15:27-47

マルコの福音書
15章
27,彼らは、イエスと一緒に二人の強盗を、一人は右に、一人は左に、十字架につけた。
29,通りすがりの人たちは、頭を振りながらイエスをののしって言った。「おい、神殿を壊して三日で建てる人よ。
30,十字架から降りて来て、自分を救ってみろ。」
31,同じように、祭司長たちも律法学者たちと一緒になって、代わる代わるイエスを嘲って言った。「他人は救ったが、自分は救えない。
32,キリスト、イスラエルの王に、今、十字架から降りてもらおう。それを見たら信じよう。」また、一緒に十字架につけられていた者たちもイエスをののしった。
33,さて、十二時になったとき、闇が全地をおおい、午後三時まで続いた。
34,そして三時に、イエスは大声で叫ばれた。「エロイ、エロイ、レマ、サバクタニ。」訳すと「わが神、わが神、どうしてわたしをお見捨てになったのですか」という意味である。
35,そばに立っていた人たちの何人かがこれを聞いて言った。「ほら、エリヤを呼んでいる。」
36,すると一人が駆け寄り、海綿に酸いぶどう酒を含ませて、葦の棒に付け、「待て。エリヤが降ろしに来るか見てみよう」と言って、イエスに飲ませようとした。
37,しかし、イエスは大声をあげて、息を引き取られた。
38,すると、神殿の幕が上から下まで真っ二つに裂けた。
39,イエスの正面に立っていた百人隊長は、イエスがこのように息を引き取られたのを見て言った。「この方は本当に神の子であった。」
40,女たちも遠くから見ていたが、その中には、マグダラのマリアと、小ヤコブとヨセの母マリアと、サロメがいた。
41,イエスがガリラヤにおられたときに、イエスに従って仕えていた人たちであった。このほかにも、イエスと一緒にエルサレムに上って来た女たちがたくさんいた。
42,さて、すでに夕方になっていた。その日は備え日、すなわち安息日の前日であったので、
43,アリマタヤ出身のヨセフは、勇気を出してピラトのところに行き、イエスのからだの下げ渡しを願い出た。ヨセフは有力な議員で、自らも神の国を待ち望んでいた。
44,ピラトは、イエスがもう死んだのかと驚いた。そして百人隊長を呼び、イエスがすでに死んだのかどうか尋ねた。
45,百人隊長に確認すると、ピラトはイエスの遺体をヨセフに下げ渡した。
46,ヨセフは亜麻布を買い、イエスを降ろして亜麻布で包み、岩を掘って造った墓に納めた。そして、墓の入り口には石を転がしておいた。
47,マグダラのマリアとヨセの母マリアは、イエスがどこに納められるか、よく見ていた。

2018年12月29日土曜日

マルコ15:1-26

マルコの福音書
15章
1,夜が明けるとすぐに、祭司長たちは、長老たちや律法学者たちと最高法院全体で協議を行ってから、イエスを縛って連れ出し、ピラトに引き渡した。
2,ピラトはイエスに尋ねた。「あなたはユダヤ人の王なのか。」イエスは答えられた。「あなたがそう言っています。」
3,そこで祭司長たちは、多くのことでイエスを訴えた。
4,ピラトは再びイエスに尋ねた。「何も答えないのか。見なさい。彼らはあんなにまであなたを訴えているが。」
5,しかし、イエスはもはや何も答えようとされなかった。それにはピラトも驚いた。
6,ところで、ピラトは祭りのたびに、人々の願う囚人一人を釈放していた。
7,そこに、バラバという者がいて、暴動で人殺しをした暴徒たちとともに牢につながれていた。
8,群衆が上って来て、いつものようにしてもらうことを、ピラトに要求し始めた。
9,そこでピラトは彼らに答えた。「おまえたちはユダヤ人の王を釈放してほしいのか。」
10,ピラトは、祭司長たちがねたみからイエスを引き渡したことを、知っていたのである。
11,しかし、祭司長たちは、むしろ、バラバを釈放してもらうように群衆を扇動した。
12,そこで、ピラトは再び答えた。「では、おまえたちがユダヤ人の王と呼ぶあの人を、私にどうしてほしいのか。」
13,すると彼らはまたも叫んだ。「十字架につけろ。」
14,ピラトは彼らに言った。「あの人がどんな悪いことをしたのか。」しかし、彼らはますます激しく叫び続けた。「十字架につけろ。」
15,それで、ピラトは群衆を満足させようと思い、バラバを釈放し、イエスはむちで打ってから、十字架につけるために引き渡した。
16,兵士たちは、イエスを中庭に、すなわち、総督官邸の中に連れて行き、全部隊を呼び集めた。
17,そして、イエスに紫の衣を着せ、茨の冠を編んでかぶらせ、
18,それから、「ユダヤ人の王様、万歳」と叫んで敬礼し始めた。
19,また、葦の棒でイエスの頭をたたき、唾をかけ、ひざまずいて拝んだ。
20,彼らはイエスをからかってから、紫の衣を脱がせて、元の衣を着せた。それから、イエスを十字架につけるために連れ出した。
21,兵士たちは、通りかかったクレネ人シモンという人に、イエスの十字架を無理やり背負わせた。彼はアレクサンドロとルフォスの父で、田舎から来ていた。
22,彼らはイエスを、ゴルゴタという所(訳すと、どくろの場所)に連れて行った。
23,彼らは、没薬を混ぜたぶどう酒を与えようとしたが、イエスはお受けにならなかった。
24,それから、彼らはイエスを十字架につけた。そして、くじを引いて、だれが何を取るかを決め、イエスの衣を分けた。
25,彼らがイエスを十字架につけたのは、午前九時であった。
26,イエスの罪状書きには、「ユダヤ人の王」と書いてあった。

2018年12月28日金曜日

マルコ14:51-72

マルコの福音書
14章
51,ある青年が、からだに亜麻布を一枚まとっただけでイエスについて行ったところ、人々が彼を捕らえようとした。
52,すると、彼は亜麻布を脱ぎ捨てて、裸で逃げた。
53,人々がイエスを大祭司のところに連れて行くと、祭司長たち、長老たち、律法学者たちがみな集まって来た。
54,ペテロは、遠くからイエスの後について、大祭司の家の庭の中にまで入って行った。そして、下役たちと一緒に座って、火に当たっていた。
55,さて、祭司長たちと最高法院全体は、イエスを死刑にするため、彼に不利な証言を得ようとしたが、何も見つからなかった。
56,多くの者たちがイエスに不利な偽証をしたが、それらの証言が一致しなかったのである。
57,すると、何人かが立ち上がり、こう言って、イエスに不利な偽証をした。
58,「『わたしは人の手で造られたこの神殿を壊し、人の手で造られたのではない別の神殿を三日で建てる』とこの人が言うのを、私たちは聞きました。」
59,しかし、この点でも、証言は一致しなかった。
60,そこで、大祭司が立ち上がり、真ん中に進み出て、イエスに尋ねた。「何も答えないのか。この人たちがおまえに不利な証言をしているが、どういうことか。」
61,しかし、イエスは黙ったまま、何もお答えにならなかった。大祭司は再びイエスに尋ねた。「おまえは、ほむべき方の子キリストなのか。」
62,そこでイエスは言われた。「わたしが、それです。あなたがたは、人の子が力ある方の右の座に着き、そして天の雲とともに来るのを見ることになります。」
63,すると、大祭司は自分の衣を引き裂いて言った。「なぜこれ以上、証人が必要か。
64,あなたがたは、神を冒瀆することばを聞いたのだ。どう考えるか。」すると彼らは全員で、イエスは死に値すると決めた。
65,そして、ある者たちはイエスに唾をかけ、顔に目隠しをして拳で殴り、「当ててみろ」と言い始めた。また、下役たちはイエスを平手で打った。
66,ペテロが下の中庭にいると、大祭司の召使いの女の一人がやって来た。
67,ペテロが火に当たっているのを見かけると、彼をじっと見つめて言った。「あなたも、ナザレ人イエスと一緒にいましたね。」
68,ペテロはそれを否定して、「何を言っているのか分からない。理解できない」と言って、前庭の方に出て行った。すると鶏が鳴いた。
69,召使いの女はペテロを見て、そばに立っていた人たちに再び言い始めた。「この人はあの人たちの仲間です。」
70,すると、ペテロは再び否定した。しばらくすると、そばに立っていた人たちが、またペテロに言った。「確かに、あなたはあの人たちの仲間だ。ガリラヤ人だから。」
71,するとペテロは、噓ならのろわれてもよいと誓い始め、「私は、あなたがたが話しているその人を知らない」と言った。
72,するとすぐに、鶏がもう一度鳴いた。ペテロは、「鶏が二度鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言います」と、イエスが自分に話されたことを思い出した。そして彼は泣き崩れた。

2018年12月27日木曜日

マルコ14:26-50

マルコの福音書
14章
26,そして、賛美の歌を歌ってから、皆でオリーブ山へ出かけた。
27,イエスは弟子たちに言われた。「あなたがたはみな、つまずきます。『わたしは羊飼いを打つ。すると、羊は散らされる』と書いてあるからです。
28,しかしわたしは、よみがえった後、あなたがたより先にガリラヤへ行きます。」
29,すると、ペテロがイエスに言った。「たとえ皆がつまずいても、私はつまずきません。」
30,イエスは彼に言われた。「まことに、あなたに言います。まさに今夜、鶏が二度鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言います。」
31,ペテロは力を込めて言い張った。「たとえ、ご一緒に死ななければならないとしても、あなたを知らないなどとは決して申しません。」皆も同じように言った。
32,さて、彼らはゲツセマネという場所に来た。イエスは弟子たちに言われた。「わたしが祈っている間、ここに座っていなさい。」
33,そして、ペテロ、ヤコブ、ヨハネを一緒に連れて行かれた。イエスは深く悩み、もだえ始め、
34,彼らに言われた。「わたしは悲しみのあまり死ぬほどです。ここにいて、目を覚ましていなさい。」
35,それからイエスは少し進んで行って、地面にひれ伏し、できることなら、この時が自分から過ぎ去るようにと祈られた。
36,そしてこう言われた。「アバ、父よ、あなたは何でもおできになります。どうか、この杯をわたしから取り去ってください。しかし、わたしの望むことではなく、あなたがお望みになることが行われますように。」
37,イエスは戻り、彼らが眠っているのを見て、ペテロに言われた。「シモン、眠っているのですか。一時間でも、目を覚ましていられなかったのですか。
38,誘惑に陥らないように、目を覚まして祈っていなさい。霊は燃えていても肉は弱いのです。」
39,イエスは再び離れて行き、前と同じことばで祈られた。
40,そして再び戻って来てご覧になると、弟子たちは眠っていた。まぶたがとても重くなっていたのである。彼らは、イエスに何と言ってよいか、分からなかった。
41,イエスは三度目に戻って来ると、彼らに言われた。「まだ眠って休んでいるのですか。もう十分です。時が来ました。見なさい。人の子は罪人たちの手に渡されます。
42,立ちなさい。さあ、行こう。見なさい。わたしを裏切る者が近くに来ています。」
43,そしてすぐ、イエスがまだ話しておられるうちに、十二人の一人のユダが現れた。祭司長たち、律法学者たち、長老たちから差し向けられ、剣や棒を手にした群衆も一緒であった。
44,イエスを裏切ろうとしていた者は、彼らと合図を決め、「私が口づけをするのが、その人だ。その人を捕まえて、しっかりと引いて行くのだ」と言っておいた。
45,ユダはやって来るとすぐ、イエスに近づき、「先生」と言って口づけした。
46,人々は、イエスに手をかけて捕らえた。
47,そのとき、そばに立っていた一人が、剣を抜いて大祭司のしもべに切りかかり、その耳を切り落とした。
48,イエスは彼らに向かって言われた。「まるで強盗にでも向かうように、剣や棒を持ってわたしを捕らえに来たのですか。
49,わたしは毎日、宮であなたがたと一緒にいて教えていたのに、あなたがたは、わたしを捕らえませんでした。しかし、こうなったのは聖書が成就するためです。」
50,皆は、イエスを見捨てて逃げてしまった。

2018年12月26日水曜日

マルコ14:1-25

マルコの福音書
14章
1,過越の祭り、すなわち種なしパンの祭りが二日後に迫っていた。祭司長たちと律法学者たちは、イエスをだまして捕らえ、殺すための良い方法を探していた。
2,彼らは、「祭りの間はやめておこう。民が騒ぎを起こすといけない」と話していた。
3,さて、イエスがベタニアで、ツァラアトに冒された人シモンの家におられたときのことである。食事をしておられると、ある女の人が、純粋で非常に高価なナルド油の入った小さな壺を持って来て、その壺を割り、イエスの頭に注いだ。
4,すると、何人かの者が憤慨して互いに言った。「何のために、香油をこんなに無駄にしたのか。
5,この香油なら、三百デナリ以上に売れて、貧しい人たちに施しができたのに。」そして、彼女を厳しく責めた。
6,すると、イエスは言われた。「彼女を、するままにさせておきなさい。なぜ困らせるのですか。わたしのために、良いことをしてくれたのです。
7,貧しい人々は、いつもあなたがたと一緒にいます。あなたがたは望むとき、いつでも彼らに良いことをしてあげられます。しかし、わたしは、いつもあなたがたと一緒にいるわけではありません。
8,彼女は、自分にできることをしたのです。埋葬に備えて、わたしのからだに、前もって香油を塗ってくれました。
9,まことに、あなたがたに言います。世界中どこでも、福音が宣べ伝えられるところでは、この人がしたことも、この人の記念として語られます。」
10,さて、十二人の一人であるイスカリオテのユダは、祭司長たちのところへ行った。イエスを引き渡すためであった。
11,彼らはそれを聞いて喜び、金を与える約束をした。そこでユダは、どうすればイエスをうまく引き渡せるかと、その機をうかがっていた。
12,種なしパンの祭りの最初の日、すなわち、過越の子羊を屠る日、弟子たちはイエスに言った。「過越の食事ができるように、私たちは、どこへ行って用意をしましょうか。」
13,イエスは、こう言って弟子のうち二人を遣わされた。「都に入りなさい。すると、水がめを運んでいる人に出会います。その人について行きなさい。
14,そして、彼が入って行く家の主人に、『弟子たちと一緒に過越の食事をする、わたしの客間はどこかと先生が言っております』と言いなさい。
15,すると、その主人自ら、席が整えられて用意のできた二階の大広間を見せてくれます。そこでわたしたちのために用意をしなさい。」
16,弟子たちが出かけて行って都に入ると、イエスが彼らに言われたとおりであった。それで、彼らは過越の用意をした。
17,夕方になって、イエスは十二人と一緒にそこに来られた。
18,そして、彼らが席に着いて食事をしているとき、イエスは言われた。「まことに、あなたがたに言います。あなたがたのうちの一人で、わたしと一緒に食事をしている者が、わたしを裏切ります。」
19,弟子たちは悲しくなり、次々にイエスに言い始めた。「まさか私ではないでしょう。」
20,イエスは言われた。「十二人の一人で、わたしと一緒に手を鉢に浸している者です。
21,人の子は、自分について書かれているとおり、去って行きます。しかし、人の子を裏切るその人はわざわいです。そういう人は、生まれて来なければよかったのです。」
22,さて、一同が食事をしているとき、イエスはパンを取り、神をほめたたえてこれを裂き、弟子たちに与えて言われた。「取りなさい。これはわたしのからだです。」
23,また、杯を取り、感謝の祈りをささげた後、彼らにお与えになった。彼らはみなその杯から飲んだ。
24,イエスは彼らに言われた。「これは、多くの人のために流される、わたしの契約の血です。
25,まことに、あなたがたに言います。神の国で新しく飲むその日まで、わたしがぶどうの実からできた物を飲むことは、もはや決してありません。」

2018年12月25日火曜日

マルコ13:14-37

マルコの福音書
13章
14,『荒らす忌まわしいもの』が、立ってはならない所に立っているのを見たら──読者はよく理解せよ──ユダヤにいる人たちは山へ逃げなさい。
15,屋上にいる人は、家から何かを持ち出そうと、下に降りたり、中に入ったりしてはいけません。
16,畑にいる人は、上着を取りに戻ってはいけません。
17,それらの日、身重の女たちと乳飲み子を持つ女たちは哀れです。
18,このことが冬に起こらないように祈りなさい。
19,それらの日には、神が創造された被造世界のはじめから今に至るまでなかったような、また、今後も決してないような苦難が起こるからです。
20,もし主が、その日数を少なくしてくださらなかったら、一人も救われないでしょう。しかし、主は、ご自分が選んだ人たちのために、その日数を少なくしてくださいました。
21,そのときに、だれかが、『ご覧なさい。ここにキリストがいる』とか、『あそこにいる』とか言っても、信じてはいけません。
22,偽キリストたち、偽預言者たちが現れて、できれば選ばれた者たちを惑わそうと、しるしや不思議を行います。
23,あなたがたは、気をつけていなさい。わたしは、すべてのことを前もって話しました。
24,しかしその日、これらの苦難に続いて、太陽は暗くなり、月は光を放たなくなり、
25,星は天から落ち、天にあるもろもろの力は揺り動かされます。
26,そのとき人々は、人の子が雲のうちに、偉大な力と栄光とともに来るのを見ます。
27,そのとき、人の子は御使いたちを遣わし、地の果てから天の果てまで、選ばれた者たちを四方から集めます。
28,いちじくの木から教訓を学びなさい。枝が柔らかくなって葉が出て来ると、夏が近いことが分かります。
29,同じように、これらのことが起こるのを見たら、あなたがたは、人の子が戸口まで近づいていることを知りなさい。
30,まことに、あなたがたに言います。これらのことがすべて起こるまでは、この時代が過ぎ去ることは決してありません。
31,天地は消え去ります。しかし、わたしのことばは決して消え去ることがありません。
32,ただし、その日、その時がいつなのかは、だれも知りません。天の御使いたちも子も知りません。父だけが知っておられます。
33,気をつけて、目を覚ましていなさい。その時がいつなのか、あなたがたは知らないからです。
34,それはちょうど、旅に出る人のようです。家を離れるとき、しもべたちそれぞれに、仕事を割り当てて責任を持たせ、門番には目を覚ましているように命じます。
35,ですから、目を覚ましていなさい。家の主人がいつ帰って来るのか、夕方なのか、夜中なのか、鶏の鳴くころなのか、明け方なのか、分からないからです。
36,主人が突然帰って来て、あなたがたが眠っているのを見ることがないようにしなさい。
37,わたしがあなたがたに言っていることは、すべての人に言っているのです。目を覚ましていなさい。」

2018年12月24日月曜日

マルコ13:1-13

マルコの福音書
13章
1,イエスが宮から出て行かれるとき、弟子の一人がイエスに言った。「先生、ご覧ください。なんとすばらしい石、なんとすばらしい建物でしょう。」
2,すると、イエスは彼に言われた。「この大きな建物を見ているのですか。ここで、どの石も崩されずに、ほかの石の上に残ることは決してありません。」
3,イエスがオリーブ山で宮に向かって座っておられると、ペテロ、ヤコブ、ヨハネ、アンデレが、ひそかにイエスに尋ねた。
4,「お話しください。いつ、そのようなことが起こるのですか。また、それらがすべて終わりに近づくときのしるしは、どのようなものですか。」
5,それで、イエスは彼らに話し始められた。「人に惑わされないように気をつけなさい。
6,わたしの名を名乗る者が大勢現れ、『私こそ、その者だ』と言って、多くの人を惑わします。
7,また、戦争や戦争のうわさを聞いても、うろたえてはいけません。そういうことは必ず起こりますが、まだ終わりではありません。
8,民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、あちこちで地震があり、飢饉も起こるからです。これらのことは産みの苦しみの始まりです。
9,あなたがたは用心していなさい。人々はあなたがたを地方法院に引き渡します。あなたがたは、会堂で打ちたたかれ、わたしのために、総督たちや王たちの前に立たされます。そのようにして彼らに証しするのです。
10,まず福音が、すべての民族に宣べ伝えられなければなりません。
11,人々があなたがたを捕らえて引き渡すとき、何を話そうかと、前もって心配するのはやめなさい。ただ、そのときあなたがたに与えられることを話しなさい。話すのはあなたがたではなく、聖霊です。
12,また、兄弟は兄弟を、父は子を死に渡し、子どもたちは両親に逆らって立ち、死に至らせます。
13,また、わたしの名のために、あなたがたはすべての人に憎まれます。しかし、最後まで耐え忍ぶ人は救われます。

2018年12月23日日曜日

マルコ12:28-44

マルコの福音書
12章
28,律法学者の一人が来て、彼らが議論するのを聞いていたが、イエスが見事に答えられたのを見て、イエスに尋ねた。「すべての中で、どれが第一の戒めですか。」
29,イエスは答えられた。「第一の戒めはこれです。『聞け、イスラエルよ。主は私たちの神。主は唯一である。
30,あなたは心を尽くし、いのちを尽くし、知性を尽くし、力を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい。』
31,第二の戒めはこれです。『あなたの隣人を自分自身のように愛しなさい。』これらよりも重要な命令は、ほかにありません。」
32,律法学者はイエスに言った。「先生、そのとおりです。主は唯一であって、そのほかに主はいない、とあなたが言われたことは、まさにそのとおりです。
33,そして、心を尽くし、知恵を尽くし、力を尽くして主を愛すること、また、隣人を自分自身のように愛することは、どんな全焼のささげ物やいけにえよりもはるかにすぐれています。」
34,イエスは、彼が賢く答えたのを見て言われた。「あなたは神の国から遠くない。」それから後は、だれもイエスにあえて尋ねる者はいなかった。
35,イエスは宮で教えていたとき、こう言われた。「どうして律法学者たちは、キリストをダビデの子だと言うのですか。
36,ダビデ自身が、聖霊によって、こう言っています。『主は、私の主に言われた。「あなたは、わたしの右の座に着いていなさい。わたしがあなたの敵をあなたの足台とするまで。」』
37,ダビデ自身がキリストを主と呼んでいるのに、どうしてキリストがダビデの子なのでしょう。」大勢の群衆が、イエスの言われることを喜んで聞いていた。
38,イエスはその教えの中でこう言われた。「律法学者たちに気をつけなさい。彼らが願うのは、長い衣を着て歩き回ること、広場であいさつされること、
39,会堂で上席に、宴会で上座に座ることです。
40,また、やもめたちの家を食い尽くし、見栄を張って長く祈ります。こういう人たちは、より厳しい罰を受けます。」
41,それから、イエスは献金箱の向かい側に座り、群衆がお金を献金箱へ投げ入れる様子を見ておられた。多くの金持ちがたくさん投げ入れていた。
42,そこに一人の貧しいやもめが来て、レプタ銅貨二枚を投げ入れた。それは一コドラントに当たる。
43,イエスは弟子たちを呼んで言われた。「まことに、あなたがたに言います。この貧しいやもめは、献金箱に投げ入れている人々の中で、だれよりも多くを投げ入れました。
44,皆はあり余る中から投げ入れたのに、この人は乏しい中から、持っているすべてを、生きる手立てのすべてを投げ入れたのですから。」

2018年12月22日土曜日

マルコ12:1-27

マルコの福音書
12章
1,それからイエスは、たとえで彼らに話し始められた。「ある人がぶどう園を造った。垣根を巡らし、踏み場を掘り、見張りやぐらを建て、それを農夫たちに貸して旅に出た。
2,収穫の時になったので、ぶどう園の収穫の一部を受け取るため、農夫たちのところにしもべを遣わした。
3,ところが、彼らはそのしもべを捕らえて打ちたたき、何も持たせないで送り返した。
4,そこで、主人は再び別のしもべを遣わしたが、農夫たちはその頭を殴り、辱めた。
5,また別のしもべを遣わしたが、これを殺してしまった。さらに、多くのしもべを遣わしたが、打ちたたいたり、殺したりした。
6,しかし、主人にはもう一人、愛する息子がいた。彼は『私の息子なら敬ってくれるだろう』と言って、最後に、息子を彼らのところに遣わした。
7,すると、農夫たちは話し合った。『あれは跡取りだ。さあ、殺してしまおう。そうすれば、相続財産は自分たちのものになる。』
8,そして、彼を捕らえて殺し、ぶどう園の外に投げ捨てた。
9,ぶどう園の主人はどうするでしょうか。やって来て、農夫たちを殺し、ぶどう園をほかの人たちに与えるでしょう。
10,あなたがたは、次の聖書のことばを読んだことがないのですか。『家を建てる者たちが捨てた石、それが要の石となった。
11,これは主がなさったこと。私たちの目には不思議なことだ。』」
12,彼らは、このたとえ話が自分たちを指して語られたことに気づいたので、イエスを捕らえようと思ったが、群衆を恐れた。それでイエスを残して立ち去った。
13,さて、彼らはイエスのことばじりをとらえようとして、パリサイ人とヘロデ党の者を数人、イエスのところに遣わした。
14,その人たちはやって来てイエスに言った。「先生。私たちは、あなたが真実な方で、だれにも遠慮しない方だと知っております。人の顔色を見ず、真理に基づいて神の道を教えておられるからです。ところで、カエサルに税金を納めることは、律法にかなっているでしょうか、いないでしょうか。納めるべきでしょうか、納めるべきでないでしょうか。」
15,イエスは彼らの欺瞞を見抜いて言われた。「なぜわたしを試すのですか。デナリ銀貨を持って来て見せなさい。」
16,彼らが持って来ると、イエスは言われた。「これは、だれの肖像と銘ですか。」彼らは、「カエサルのです」と言った。
17,するとイエスは言われた。「カエサルのものはカエサルに、神のものは神に返しなさい。」彼らはイエスのことばに驚嘆した。
18,また、復活はないと言っているサドカイ人たちが、イエスのところに来て質問した。
19,「先生、モーセは私たちのためにこう書いています。『もし、ある人の兄が死んで妻を後に残し、子を残さなかった場合、その弟が兄嫁を妻にして、兄のために子孫を起こさなければならない。』
20,さて、七人の兄弟がいました。長男が妻を迎えましたが、死んで子孫を残しませんでした。
21,次男が兄嫁を妻にしましたが、やはり死んで子孫を残しませんでした。三男も同様でした。
22,こうして、七人とも子孫を残しませんでした。最後に、その妻も死にました。
23,復活の際、彼らがよみがえるとき、彼女は彼らのうちのだれの妻になるのでしょうか。七人とも彼女を妻にしたのですが。」
24,イエスは彼らに言われた。「あなたがたは、聖書も神の力も知らないので、そのために思い違いをしているのではありませんか。
25,死人の中からよみがえるときには、人はめとることも嫁ぐこともなく、天の御使いたちのようです。
26,死人がよみがえることについては、モーセの書にある柴の箇所で、神がモーセにどう語られたか、あなたがたは読んだことがないのですか。『わたしはアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である』とあります。
27,神は死んだ者の神ではなく、生きている者の神です。あなたがたは大変な思い違いをしています。」

2018年12月21日金曜日

マルコ11:20-33

マルコの福音書
11章
20,さて、朝早く、彼らが通りがかりにいちじくの木を見ると、それは根元から枯れていた。
21,ペテロは思い出して、イエスに言った。「先生、ご覧ください。あなたがのろわれた、いちじくの木が枯れています。」
22,イエスは弟子たちに答えられた。「神を信じなさい。
23,まことに、あなたがたに言います。この山に向かい、『立ち上がって、海に入れ』と言い、心の中で疑わずに、自分の言ったとおりになると信じる者には、そのとおりになります。
24,ですから、あなたがたに言います。あなたがたが祈り求めるものは何でも、すでに得たと信じなさい。そうすれば、そのとおりになります。
25,また、祈るために立ち上がるとき、だれかに対し恨んでいることがあるなら、赦しなさい。そうすれば、天におられるあなたがたの父も、あなたがたの過ちを赦してくださいます。」
27,彼らは再びエルサレムに来た。イエスが宮の中を歩いておられると、祭司長たち、律法学者たち、長老たちがやって来て、
28,こう言った。「何の権威によって、これらのことをしているのですか。だれがあなたに、これらのことをする権威を授けたのですか。」
29,イエスは彼らに言われた。「わたしも一言尋ねましょう。それに答えなさい。そうしたら、何の権威によってこれらのことをしているのか、わたしも言いましょう。
30,ヨハネのバプテスマは、天から来たのですか、それとも人から出たのですか。わたしに答えなさい。」
31,すると、彼らは論じ合った。「もし、天から来たと言えば、それならなぜ、ヨハネを信じなかったのかと言うだろう。
32,だが、人から出たと言えば──。」彼らは群衆を恐れていた。人々がみな、ヨハネは確かに預言者だと思っていたからである。
33,そこで、彼らはイエスに、「分かりません」と答えた。するとイエスは彼らに言われた。「わたしも、何の権威によってこれらのことをするのか、あなたがたに言いません。」

2018年12月20日木曜日

マルコ11:1-19

マルコの福音書
11章
1,さて、一行がエルサレムに近づき、オリーブ山のふもとのベテパゲとベタニアに来たとき、イエスはこう言って二人の弟子を遣わされた。
2,「向こうの村へ行きなさい。村に入るとすぐ、まだだれも乗ったことのない子ろばが、つながれているのに気がつくでしょう。それをほどいて、引いて来なさい。
3,もしだれかが、『なぜそんなことをするのか』と言ったら、『主がお入り用なのです。すぐに、またここにお返しします』と言いなさい。」
4,弟子たちは出かけて行き、表通りにある家の戸口に、子ろばがつながれているのを見つけたので、それをほどいた。
5,すると、そこに立っていた何人かが言った。「子ろばをほどいたりして、どうするのか。」
6,弟子たちが、イエスの言われたとおりに話すと、彼らは許してくれた。
7,それで、子ろばをイエスのところに引いて行き、自分たちの上着をその上に掛けた。イエスはそれに乗られた。
8,すると、多くの人たちが自分たちの上着を道に敷き、ほかの人たちは葉の付いた枝を野から切って来て敷いた。
9,そして、前を行く人たちも、後に続く人たちも叫んだ。「ホサナ。祝福あれ、主の御名によって来られる方に。
10,祝福あれ、われらの父ダビデの、来たるべき国に。ホサナ、いと高き所に。」
11,こうしてイエスはエルサレムに着き、宮に入られた。そして、すべてを見て回った後、すでに夕方になっていたので、十二人と一緒にベタニアに出て行かれた。
12,翌日、彼らがベタニアを出たとき、イエスは空腹を覚えられた。
13,葉の茂ったいちじくの木が遠くに見えたので、その木に何かあるかどうか見に行かれたが、そこに来てみると、葉のほかには何も見つからなかった。いちじくのなる季節ではなかったからである。
14,するとイエスは、その木に向かって言われた。「今後いつまでも、だれもおまえの実を食べることがないように。」弟子たちはこれを聞いていた。
15,こうして彼らはエルサレムに着いた。イエスは宮に入り、その中で売り買いしている者たちを追い出し始め、両替人の台や、鳩を売る者たちの腰掛けを倒された。
16,また、だれにも、宮を通って物を運ぶことをお許しにならなかった。
17,そして、人々に教えて言われた。「『わたしの家は、あらゆる民の祈りの家と呼ばれる』と書いてあるではないか。それなのに、おまえたちはそれを『強盗の巣』にしてしまった。」
18,祭司長たちや律法学者たちはこれを聞いて、どのようにしてイエスを殺そうかと相談した。群衆がみなその教えに驚嘆していたため、彼らはイエスを恐れていたのである。
19,夕方になると、イエスと弟子たちは都の外に出て行った。

2018年12月19日水曜日

マルコ10:32-52

マルコの福音書
10章
32,さて、一行はエルサレムに上る途上にあった。イエスは弟子たちの先に立って行かれた。弟子たちは驚き、ついて行く人たちは恐れを覚えた。すると、イエスは再び十二人をそばに呼んで、ご自分に起ころうとしていることを話し始められた。
33,「ご覧なさい。わたしたちはエルサレムに上って行きます。そして、人の子は、祭司長たちや律法学者たちに引き渡されます。彼らは人の子を死刑に定め、異邦人に引き渡します。
34,異邦人は人の子を嘲り、唾をかけ、むちで打ち、殺します。しかし、人の子は三日後によみがえります。」
35,ゼベダイの息子たち、ヤコブとヨハネが、イエスのところに来て言った。「先生。私たちが願うことをかなえていただきたいのです。」
36,イエスは彼らに言われた。「何をしてほしいのですか。」
37,彼らは言った。「あなたが栄光をお受けになるとき、一人があなたの右に、もう一人が左に座るようにしてください。」
38,しかし、イエスは彼らに言われた。「あなたがたは、自分が何を求めているのか分かっていません。わたしが飲む杯を飲み、わたしが受けるバプテスマを受けることができますか。」
39,彼らは「できます」と言った。そこで、イエスは言われた。「確かにあなたがたは、わたしが飲む杯を飲み、わたしが受けるバプテスマを受けることになります。
40,しかし、わたしの右と左に座ることは、わたしが許すことではありません。それは備えられた人たちに与えられるのです。」
41,ほかの十人はこれを聞いて、ヤコブとヨハネに腹を立て始めた。
42,そこで、イエスは彼らを呼び寄せて言われた。「あなたがたも知っているとおり、異邦人の支配者と認められている者たちは、人々に対して横柄にふるまい、偉い人たちは人々の上に権力をふるっています。
43,しかし、あなたがたの間では、そうであってはなりません。あなたがたの間で偉くなりたいと思う者は、皆に仕える者になりなさい。
44,あなたがたの間で先頭に立ちたいと思う者は、皆のしもべになりなさい。
45,人の子も、仕えられるためではなく仕えるために、また多くの人のための贖いの代価として、自分のいのちを与えるために来たのです。」
46,さて、一行はエリコに着いた。そしてイエスが、弟子たちや多くの群衆と一緒にエリコを出て行かれると、ティマイの子のバルティマイという目の見えない物乞いが、道端に座っていた。
47,彼は、ナザレのイエスがおられると聞いて、「ダビデの子のイエス様、私をあわれんでください」と叫び始めた。
48,多くの人たちが彼を黙らせようとたしなめたが、「ダビデの子よ、私をあわれんでください」と、ますます叫んだ。
49,イエスは立ち止まって、「あの人を呼んで来なさい」と言われた。そこで、彼らはその目の見えない人を呼んで、「心配しないでよい。さあ、立ちなさい。あなたを呼んでおられる」と言った。
50,その人は上着を脱ぎ捨て、躍り上がってイエスのところに来た。
51,イエスは彼に言われた。「わたしに何をしてほしいのですか。」すると、その目の見えない人は言った。「先生、目が見えるようにしてください。」
52,そこでイエスは言われた。「さあ、行きなさい。あなたの信仰があなたを救いました。」すると、すぐに彼は見えるようになり、道を進むイエスについて行った。

2018年12月18日火曜日

マルコ10:1-31

マルコの福音書
10章
1,イエスは立ち上がり、そこからユダヤ地方とヨルダンの川向こうに行かれた。群衆がまたイエスのもとに集まって来たので、再びいつものように彼らを教え始められた。
2,すると、パリサイ人たちがやって来て、イエスを試みるために、夫が妻を離縁することは律法にかなっているかどうかと質問した。
3,イエスは答えられた。「モーセはあなたがたに何と命じていますか。」
4,彼らは言った。「モーセは、離縁状を書いて妻を離縁することを許しました。」
5,イエスは言われた。「モーセは、あなたがたの心が頑ななので、この戒めをあなたがたに書いたのです。
6,しかし、創造のはじめから、神は彼らを男と女に造られました。
7,『それゆえ、男は父と母を離れ、その妻と結ばれ、
8,ふたりは一体となる』のです。ですから、彼らはもはやふたりではなく、一体なのです。
9,こういうわけで、神が結び合わせたものを、人が引き離してはなりません。」
10,家に入ると、弟子たちは再びこの問題についてイエスに尋ねた。
11,イエスは彼らに言われた。「だれでも、自分の妻を離縁し、別の女を妻にする者は、妻に対して姦淫を犯すのです。
12,妻も、夫を離縁して別の男に嫁ぐなら、姦淫を犯すのです。」
13,さて、イエスに触れていただこうと、人々が子どもたちを連れて来た。ところが弟子たちは彼らを叱った。
14,イエスはそれを見て、憤って弟子たちに言われた。「子どもたちを、わたしのところに来させなさい。邪魔してはいけません。神の国はこのような者たちのものなのです。
15,まことに、あなたがたに言います。子どものように神の国を受け入れる者でなければ、決してそこに入ることはできません。」
16,そしてイエスは子どもたちを抱き、彼らの上に手を置いて祝福された。
17,イエスが道に出て行かれると、一人の人が駆け寄り、御前にひざまずいて尋ねた。「良い先生。永遠のいのちを受け継ぐためには、何をしたらよいでしょうか。」
18,イエスは彼に言われた。「なぜ、わたしを『良い』と言うのですか。良い方は神おひとりのほか、だれもいません。
19,戒めはあなたも知っているはずです。『殺してはならない。姦淫してはならない。盗んではならない。偽りの証言をしてはならない。だまし取ってはならない。あなたの父と母を敬え。』」
20,その人はイエスに言った。「先生。私は少年のころから、それらすべてを守ってきました。」
21,イエスは彼を見つめ、いつくしんで言われた。「あなたに欠けていることが一つあります。帰って、あなたが持っている物をすべて売り払い、貧しい人たちに与えなさい。そうすれば、あなたは天に宝を持つことになります。そのうえで、わたしに従って来なさい。」
22,すると彼は、このことばに顔を曇らせ、悲しみながら立ち去った。多くの財産を持っていたからである。
23,イエスは、周囲を見回して、弟子たちに言われた。「富を持つ者が神の国に入るのは、なんと難しいことでしょう。」
24,弟子たちはイエスのことばに驚いた。しかし、イエスは重ねて彼らに言われた。「子たちよ。神の国に入ることは、なんと難しいことでしょう。
25,金持ちが神の国に入るよりは、らくだが針の穴を通るほうが易しいのです。」
26,弟子たちは、ますます驚いて互いに言った。「それでは、だれが救われることができるでしょう。」
27,イエスは彼らをじっと見て言われた。「それは人にはできないことです。しかし、神は違います。神にはどんなことでもできるのです。」
28,ペテロがイエスにこう言い出した。「ご覧ください。私たちはすべてを捨てて、あなたに従って来ました。」
29,イエスは言われた。「まことに、あなたがたに言います。わたしのために、また福音のために、家、兄弟、姉妹、母、父、子ども、畑を捨てた者は、
30,今この世で、迫害とともに、家、兄弟、姉妹、母、子ども、畑を百倍受け、来たるべき世で永遠のいのちを受けます。
31,しかし、先にいる多くの者が後になり、後にいる多くの者が先になります。」

2018年12月17日月曜日

マルコ9:30-50

マルコの福音書
9章
30,さて、一行はそこを去り、ガリラヤを通って行った。イエスは、人に知られたくないと思われた。
31,それは、イエスが弟子たちに教えて「人の子は人々の手に引き渡され、殺される。しかし、殺されて三日後によみがえる」と言っておられたからである。
32,しかし、弟子たちにはこのことばが理解できなかった。また、イエスに尋ねるのを恐れていた。
33,一行はカペナウムに着いた。イエスは家に入ってから、弟子たちにお尋ねになった。「来る途中、何を論じ合っていたのですか。」
34,彼らは黙っていた。来る途中、だれが一番偉いか論じ合っていたからである。
35,イエスは腰を下ろすと、十二人を呼んで言われた。「だれでも先頭に立ちたいと思う者は、皆の後になり、皆に仕える者になりなさい。」
36,それから、イエスは一人の子どもの手を取って、彼らの真ん中に立たせ、腕に抱いて彼らに言われた。
37,「だれでも、このような子どもたちの一人を、わたしの名のゆえに受け入れる人は、わたしを受け入れるのです。また、だれでもわたしを受け入れる人は、わたしではなく、わたしを遣わされた方を受け入れるのです。」
38,ヨハネがイエスに言った。「先生。あなたの名によって悪霊を追い出している人を見たので、やめさせようとしました。その人が私たちについて来なかったからです。」
39,しかし、イエスは言われた。「やめさせてはいけません。わたしの名を唱えて力あるわざを行い、そのすぐ後に、わたしを悪く言える人はいません。
40,わたしたちに反対しない人は、わたしたちの味方です。
41,まことに、あなたがたに言います。あなたがたがキリストに属する者だということで、あなたがたに一杯の水を飲ませてくれる人は、決して報いを失うことがありません。
42,また、わたしを信じるこの小さい者たちの一人をつまずかせる者は、むしろ、大きな石臼を首に結び付けられて、海に投げ込まれてしまうほうがよいのです。
43,もし、あなたの手があなたをつまずかせるなら、それを切り捨てなさい。両手がそろっていて、ゲヘナに、その消えない火の中に落ちるより、片手でいのちに入るほうがよいのです。
45,もし、あなたの足があなたをつまずかせるなら、それを切り捨てなさい。両足がそろっていてゲヘナに投げ込まれるより、片足でいのちに入るほうがよいのです。
47,もし、あなたの目があなたをつまずかせるなら、それをえぐり出しなさい。両目がそろっていてゲヘナに投げ込まれるより、片目で神の国に入るほうがよいのです。
48,ゲヘナでは、彼らを食らううじ虫が尽きることがなく、火も消えることがありません。
49,人はみな、火によって塩気をつけられます。
50,塩は良いものです。しかし、塩に塩気がなくなったら、あなたがたは何によってそれに味をつけるでしょうか。あなたがたは自分自身のうちに塩気を保ち、互いに平和に過ごしなさい。」

2018年12月16日日曜日

マルコ9:1-29

マルコの福音書
9章
1,またイエスは彼らに言われた。「まことに、あなたがたに言います。ここに立っている人たちの中には、神の国が力をもって到来しているのを見るまで、決して死を味わわない人たちがいます。」
2,それから六日目に、イエスはペテロとヤコブとヨハネだけを連れて、高い山に登られた。すると、彼らの目の前でその御姿が変わった。
3,その衣は非常に白く輝き、この世の職人には、とてもなし得ないほどの白さであった。
4,また、エリヤがモーセとともに彼らの前に現れ、イエスと語り合っていた。
5,ペテロがイエスに言った。「先生。私たちがここにいることはすばらしいことです。幕屋を三つ造りましょう。あなたのために一つ、モーセのために一つ、エリヤのために一つ。」
6,ペテロは、何を言ったらよいのか分からなかったのである。彼らは恐怖に打たれていた。
7,そのとき、雲がわき起こって彼らをおおい、雲の中から声がした。「これはわたしの愛する子。彼の言うことを聞け。」
8,彼らが急いであたりを見回すと、自分たちと一緒にいるのはイエスだけで、もはやだれも見えなかった。
9,さて、山を下りながら、イエスは弟子たちに、人の子が死人の中からよみがえる時までは、今見たことをだれにも話してはならない、と命じられた。
10,彼らはこのことばを胸に納め、死人の中からよみがえると言われたのはどういう意味か、互いに論じ合った。
11,また弟子たちは、イエスに尋ねた。「なぜ、律法学者たちは、まずエリヤが来るはずだと言っているのですか。」
12,イエスは彼らに言われた。「エリヤがまず来て、すべてを立て直すのです。それではどうして、人の子について、多くの苦しみを受け、蔑まれると書いてあるのですか。
13,わたしはあなたがたに言います。エリヤはもう来ています。そして人々は、彼について書かれているとおり、彼に好き勝手なことをしました。」
14,さて、彼らがほかの弟子たちのところに戻ると、大勢の群衆がその弟子たちを囲んで、律法学者たちが彼らと論じ合っているのが見えた。
15,群衆はみな、すぐにイエスを見つけると非常に驚き、駆け寄って来てあいさつをした。
16,イエスは彼らに、「あなたがたは弟子たちと何を論じ合っているのですか」とお尋ねになった。
17,すると群衆の一人が答えた。「先生。口をきけなくする霊につかれた私の息子を、あなたのところに連れて来ました。
18,その霊が息子に取りつくと、ところかまわず倒します。息子は泡を吹き、歯ぎしりして、からだをこわばらせます。それであなたのお弟子たちに、霊を追い出してくださいとお願いしたのですが、できませんでした。」
19,イエスは彼らに言われた。「ああ、不信仰な時代だ。いつまで、わたしはあなたがたと一緒にいなければならないのか。いつまで、あなたがたに我慢しなければならないのか。その子をわたしのところに連れて来なさい。」
20,そこで、人々はその子をイエスのもとに連れて来た。イエスを見ると、霊がすぐ彼に引きつけを起こさせたので、彼は地面に倒れ、泡を吹きながら転げ回った。
21,イエスは父親にお尋ねになった。「この子にこのようなことが起こるようになってから、どのくらいたちますか。」父親は答えた。「幼い時からです。
22,霊は息子を殺そうとして、何度も火の中や水の中に投げ込みました。しかし、おできになるなら、私たちをあわれんでお助けください。」
23,イエスは言われた。「できるなら、と言うのですか。信じる者には、どんなことでもできるのです。」
24,するとすぐに、その子の父親は叫んで言った。「信じます。不信仰な私をお助けください。」
25,イエスは、群衆が駆け寄って来るのを見ると、汚れた霊を叱って言われた。「口をきけなくし、耳を聞こえなくする霊。わたしはおまえに命じる。この子から出て行け。二度とこの子に入るな。」
26,すると霊は叫び声をあげ、その子を激しく引きつけさせて出て行った。するとその子が死んだようになったので、多くの人たちは「この子は死んでしまった」と言った。
27,しかし、イエスが手を取って起こされると、その子は立ち上がった。
28,イエスが家に入られると、弟子たちがそっと尋ねた。「私たちが霊を追い出せなかったのは、なぜですか。」
29,すると、イエスは言われた。「この種のものは、祈りによらなければ、何によっても追い出すことができません。」

2018年12月15日土曜日

マルコ8:22-38

マルコの福音書
8章
22,彼らはベツサイダに着いた。すると人々が目の見えない人を連れて来て、彼にさわってくださいとイエスに懇願した。
23,イエスは、その人の手を取って村の外に連れて行かれた。そして彼の両目に唾をつけ、その上に両手を当てて、「何か見えますか」と聞かれた。
24,すると、彼は見えるようになって、「人が見えます。木のようですが、歩いているのが見えます」と言った。
25,それから、イエスは再び両手を彼の両目に当てられた。彼がじっと見ていると、目がすっかり治り、すべてのものがはっきりと見えるようになった。
26,そこでイエスは、彼を家に帰らせ、「村には入って行かないように」と言われた。
27,さて、イエスは弟子たちとピリポ・カイサリアの村々に出かけられた。その途中、イエスは弟子たちにお尋ねになった。「人々はわたしをだれだと言っていますか。」
28,彼らは答えた。「バプテスマのヨハネだと言っています。エリヤだと言う人たちや、預言者の一人だと言う人たちもいます。」
29,するとイエスは、彼らにお尋ねになった。「あなたがたは、わたしをだれだと言いますか。」ペテロがイエスに答えた。「あなたはキリストです。」
30,するとイエスは、自分のことをだれにも言わないように、彼らを戒められた。
31,それからイエスは、人の子は多くの苦しみを受け、長老たち、祭司長たち、律法学者たちに捨てられ、殺され、三日後によみがえらなければならないと、弟子たちに教え始められた。
32,イエスはこのことをはっきりと話された。するとペテロは、イエスをわきにお連れして、いさめ始めた。
33,しかし、イエスは振り向いて弟子たちを見ながら、ペテロを叱って言われた。「下がれ、サタン。あなたは神のことを思わないで、人のことを思っている。」
34,それから、群衆を弟子たちと一緒に呼び寄せて、彼らに言われた。「だれでもわたしに従って来たければ、自分を捨て、自分の十字架を負って、わたしに従って来なさい。
35,自分のいのちを救おうと思う者はそれを失い、わたしと福音のためにいのちを失う者は、それを救うのです。
36,人は、たとえ全世界を手に入れても、自分のいのちを失ったら、何の益があるでしょうか。
37,自分のいのちを買い戻すのに、人はいったい何を差し出せばよいのでしょうか。
38,だれでも、このような姦淫と罪の時代にあって、わたしとわたしのことばを恥じるなら、人の子も、父の栄光を帯びて聖なる御使いたちとともに来るとき、その人を恥じます。」

2018年12月14日金曜日

マルコ8:1-21

マルコの福音書
8章
1,そのころ、再び大勢の群衆が集まっていた。食べる物がなかったので、イエスは弟子たちを呼んで言われた。
2,「かわいそうに、この群衆はすでに三日間わたしとともにいて、食べる物を持っていないのです。
3,空腹のまま家に帰らせたら、途中で動けなくなります。遠くから来ている人もいます。」
4,弟子たちは答えた。「こんな人里離れたところで、どこからパンを手に入れて、この人たちに十分食べさせることができるでしょう。」
5,すると、イエスはお尋ねになった。「パンはいくつありますか。」弟子たちは「七つあります」と答えた。
6,すると、イエスは群衆に地面に座るように命じられた。それから七つのパンを取り、感謝の祈りをささげてからそれを裂き、配るようにと弟子たちにお与えになった。弟子たちはそれを群衆に配った。
7,また、小魚が少しあったので、それについて神をほめたたえてから、これも配るように言われた。
8,群衆は食べて満腹した。そして余りのパン切れを取り集めると、七つのかごになった。
9,そこには、およそ四千人の人々がいた。それからイエスは彼らを解散させ、
10,すぐに弟子たちとともに舟に乗り、ダルマヌタ地方に行かれた。
11,すると、パリサイ人たちがやって来てイエスと議論を始めた。彼らは天からのしるしを求め、イエスを試みようとしたのである。
12,イエスは、心の中で深くため息をついて、こう言われた。「この時代はなぜ、しるしを求めるのか。まことに、あなたがたに言います。今の時代には、どんなしるしも与えられません。」
13,イエスは彼らから離れ、再び舟に乗って向こう岸へ行かれた。
14,弟子たちは、パンを持って来るのを忘れ、一つのパンのほかは、舟の中に持ち合わせがなかった。
15,そのとき、イエスは彼らに命じられた。「パリサイ人のパン種とヘロデのパン種には、くれぐれも気をつけなさい。」
16,すると弟子たちは、自分たちがパンを持っていないことについて、互いに議論し始めた。
17,イエスはそれに気がついて言われた。「なぜ、パンを持っていないことについて議論しているのですか。まだ分からないのですか、悟らないのですか。心を頑なにしているのですか。
18,目があっても見ないのですか。耳があっても聞かないのですか。あなたがたは、覚えていないのですか。
19,わたしが五千人のために五つのパンを裂いたとき、パン切れを集めて、いくつのかごがいっぱいになりましたか。」彼らは答えた。「十二です。」
20,「四千人のために七つのパンを裂いたときは、パン切れを集めて、いくつのかごがいっぱいになりましたか。」彼らは答えた。「七つです。」
21,イエスは言われた。「まだ悟らないのですか。」

2018年12月13日木曜日

マルコ7:14-37

マルコの福音書
7章
14,イエスは再び群衆を呼び寄せて言われた。「みな、わたしの言うことを聞いて、悟りなさい。
15,外から入って、人を汚すことのできるものは何もありません。人の中から出て来るものが、人を汚すのです。」
17,イエスが群衆を離れて家に入られると、弟子たちは、このたとえについて尋ねた。
18,イエスは彼らに言われた。「あなたがたまで、そんなにも物分かりが悪いのですか。分からないのですか。外から人に入って来るどんなものも、人を汚すことはできません。
19,それは人の心には入らず、腹に入り排泄されます。」こうしてイエスは、すべての食物をきよいとされた。
20,イエスはまた言われた。「人から出て来るもの、それが人を汚すのです。
21,内側から、すなわち人の心の中から、悪い考えが出て来ます。淫らな行い、盗み、殺人、
22,姦淫、貪欲、悪行、欺き、好色、ねたみ、ののしり、高慢、愚かさで、
23,これらの悪は、みな内側から出て来て、人を汚すのです。」
24,イエスは立ち上がり、そこからツロの地方へ行かれた。家に入って、だれにも知られたくないと思っておられたが、隠れていることはできなかった。
25,ある女の人が、すぐにイエスのことを聞き、やって来てその足もとにひれ伏した。彼女の幼い娘は、汚れた霊につかれていた。
26,彼女はギリシア人で、シリア・フェニキアの生まれであったが、自分の娘から悪霊を追い出してくださるようイエスに願った。
27,するとイエスは言われた。「まず子どもたちを満腹にさせなければなりません。子どもたちのパンを取り上げて、小犬に投げてやるのは良くないことです。」
28,彼女は答えた。「主よ。食卓の下の小犬でも、子どもたちのパン屑はいただきます。」
29,そこでイエスは言われた。「そこまで言うのなら、家に帰りなさい。悪霊はあなたの娘から出て行きました。」
30,彼女が家に帰ると、その子は床の上に伏していたが、悪霊はすでに出ていた。
31,イエスは再びツロの地方を出て、シドンを通り、デカポリス地方を通り抜けて、ガリラヤ湖に来られた。
32,人々は、耳が聞こえず口のきけない人を連れて来て、彼の上に手を置いてくださいと懇願した。
33,そこで、イエスはその人だけを群衆の中から連れ出し、ご自分の指を彼の両耳に入れ、それから唾を付けてその舌にさわられた。
34,そして天を見上げ、深く息をして、その人に「エパタ」、すなわち「開け」と言われた。
35,すると、すぐに彼の耳が開き、舌のもつれが解け、はっきりと話せるようになった。
36,イエスは、このことをだれにも言ってはならないと人々に命じられた。しかし、彼らは口止めされればされるほど、かえってますます言い広めた。
37,人々は非常に驚いて言った。「この方のなさったことは、みなすばらしい。耳の聞こえない人たちを聞こえるようにし、口のきけない人たちを話せるようにされた。」

2018年12月12日水曜日

マルコ7:1-13

マルコの福音書
7章
1,さて、パリサイ人たちと、エルサレムから来た何人かの律法学者たちが、イエスのもとに集まった。
2,彼らは、イエスの弟子のうちのある者たちが、汚れた手で、すなわち、洗っていない手でパンを食べているのを見た。
3,パリサイ人をはじめユダヤ人はみな、昔の人たちの言い伝えを堅く守って、手をよく洗わずに食事をすることはなく、
4,市場から戻ったときは、からだをきよめてからでないと食べることをしなかった。ほかにも、杯、水差し、銅器や寝台を洗いきよめることなど、受け継いで堅く守っていることが、たくさんあったのである。
5,パリサイ人たちと律法学者たちはイエスに尋ねた。「なぜ、あなたの弟子たちは、昔の人たちの言い伝えによって歩まず、汚れた手でパンを食べるのですか。」
6,イエスは彼らに言われた。「イザヤは、あなたがた偽善者について見事に預言し、こう書いています。『この民は口先でわたしを敬うが、その心はわたしから遠く離れている。
7,彼らがわたしを礼拝しても、むなしい。人間の命令を、教えとして教えるのだから。』
8,あなたがたは神の戒めを捨てて、人間の言い伝えを堅く守っているのです。」
9,またイエスは言われた。「あなたがたは、自分たちの言い伝えを保つために、見事に神の戒めをないがしろにしています。
10,モーセは、『あなたの父と母を敬え』、また『父や母をののしる者は、必ず殺されなければならない』と言いました。
11,それなのに、あなたがたは、『もし人が、父または母に向かって、私からあなたに差し上げるはずの物は、コルバン(すなわち、ささげ物)です、と言うなら──』と言って、
12,その人が、父または母のために、何もしないようにさせています。
13,このようにしてあなたがたは、自分たちに伝えられた言い伝えによって、神のことばを無にしています。そして、これと同じようなことを、たくさん行っているのです。」

2018年12月11日火曜日

マルコ6:33-56

マルコの福音書
6章
33,ところが、多くの人々が、彼らが出て行くのを見てそれと気づき、どの町からもそこへ徒歩で駆けつけて、彼らよりも先に着いた。
34,イエスは舟から上がって、大勢の群衆をご覧になった。彼らが羊飼いのいない羊の群れのようであったので、イエスは彼らを深くあわれみ、多くのことを教え始められた。
35,そのうちに、すでに遅い時刻になったので、弟子たちはイエスのところに来て言った。「ここは人里離れたところで、もう遅い時刻になりました。
36,皆を解散させてください。そうすれば、周りの里や村に行って、自分たちで食べる物を買うことができるでしょう。」
37,すると、イエスは答えられた。「あなたがたが、あの人たちに食べる物をあげなさい。」弟子たちは言った。「私たちが出かけて行って、二百デナリのパンを買い、彼らに食べさせるのですか。」
38,イエスは彼らに言われた。「パンはいくつありますか。行って見て来なさい。」彼らは確かめて来て言った。「五つです。それに魚が二匹あります。」
39,するとイエスは、皆を組に分けて青草の上に座らせるように、弟子たちに命じられた。
40,人々は、百人ずつ、あるいは五十人ずつまとまって座った。
41,イエスは五つのパンと二匹の魚を取り、天を見上げて神をほめたたえ、パンを裂き、そして人々に配るように弟子たちにお与えになった。また、二匹の魚も皆に分けられた。
42,彼らはみな、食べて満腹した。
43,そして、パン切れを十二のかごいっぱいに集め、魚の残りも集めた。
44,パンを食べたのは、男が五千人であった。
45,それからすぐに、イエスは弟子たちを無理やり舟に乗り込ませ、向こう岸のベツサイダに先に行かせて、その間に、ご自分は群衆を解散させておられた。
46,そして彼らに別れを告げると、祈るために山に向かわれた。
47,夕方になったとき、舟は湖の真ん中にあり、イエスだけが陸地におられた。
48,イエスは、弟子たちが向かい風のために漕ぎあぐねているのを見て、夜明けが近づいたころ、湖の上を歩いて彼らのところへ行かれた。そばを通り過ぎるおつもりであった。
49,しかし、イエスが湖の上を歩いておられるのを見た弟子たちは、幽霊だと思い、叫び声をあげた。
50,みなイエスを見ておびえてしまったのである。そこで、イエスはすぐに彼らに話しかけ、「しっかりしなさい。わたしだ。恐れることはない」と言われた。
51,そして、彼らのいる舟に乗り込まれると、風はやんだ。弟子たちは心の中で非常に驚いた。
52,彼らはパンのことを理解せず、その心が頑なになっていたからである。
53,それから、彼らは湖を渡ってゲネサレの地に着き、舟をつないだ。
54,彼らが舟から上がると、人々はすぐにイエスだと気がついた。
55,そしてその地方の中を走り回り、どこでもイエスがおられると聞いた場所へ、病人を床に載せて運び始めた。
56,村でも町でも里でも、イエスが入って行かれると、人々は病人たちを広場に寝かせ、せめて、衣の房にでもさわらせてやってくださいと懇願した。そして、さわった人たちはみな癒やされた。

2018年12月10日月曜日

マルコ6:1-32

マルコの福音書
6章
1,イエスはそこを去って郷里に行かれた。弟子たちもついて行った。
2,安息日になって、イエスは会堂で教え始められた。それを聞いた多くの人々は驚いて言った。「この人は、こういうことをどこから得たのだろう。この人に与えられた知恵や、その手で行われるこのような力あるわざは、いったい何なのだろう。
3,この人は大工ではないか。マリアの子で、ヤコブ、ヨセ、ユダ、シモンの兄ではないか。その妹たちも、ここで私たちと一緒にいるではないか。」こうして彼らはイエスにつまずいた。
4,イエスは彼らに言われた。「預言者が敬われないのは、自分の郷里、親族、家族の間だけです。」
5,それで、何人かの病人に手を置いて癒やされたほかは、そこでは、何も力あるわざを行うことができなかった。
6,イエスは彼らの不信仰に驚かれた。それからイエスは、近くの村々を巡って教えられた。
7,また、十二人を呼び、二人ずつ遣わし始めて、彼らに汚れた霊を制する権威をお授けになった。
8,そして、旅のためには、杖一本のほか何も持たないように、パンも、袋も、胴巻の小銭も持って行かないように、
9,履き物ははくように、しかし、下着は二枚着ないようにと命じられた。
10,また、彼らに言われた。「どこででも一軒の家に入ったら、そこの土地から出て行くまでは、その家にとどまりなさい。
11,あなたがたを受け入れず、あなたがたの言うことを聞かない場所があったなら、そこから出て行くときに、彼らに対する証言として、足の裏のちりを払い落としなさい。」
12,こうして十二人は出て行って、人々が悔い改めるように宣べ伝え、
13,多くの悪霊を追い出し、油を塗って多くの病人を癒やした。
14,さて、イエスの名が知れ渡ったので、ヘロデ王の耳にも入った。人々は言っていた。「バプテスマのヨハネが死人の中からよみがえったのだ。だから、奇跡を行う力が彼のうちに働いているのだ。」
15,ほかの人々は、「彼はエリヤだ」と言い、さらにほかの人々は、「昔の預言者たちの一人のような預言者だ」と言っていた。
16,しかし、ヘロデはこれを聞いて言った。「私が首をはねた、あのヨハネがよみがえったのだ。」
17,実は、以前このヘロデは、自分がめとった、兄弟ピリポの妻ヘロディアのことで、人を遣わしてヨハネを捕らえ、牢につないでいた。
18,これは、ヨハネがヘロデに、「あなたが兄弟の妻を自分のものにするのは、律法にかなっていない」と言い続けたからである。
19,ヘロディアはヨハネを恨み、彼を殺したいと思いながら、できずにいた。
20,それは、ヨハネが正しい聖なる人だと知っていたヘロデが、彼を恐れて保護し、その教えを聞いて非常に当惑しながらも、喜んで耳を傾けていたからである。
21,ところが、良い機会が訪れた。ヘロデが自分の誕生日に、重臣や千人隊長、ガリラヤのおもだった人たちを招いて、祝宴を設けたときのことであった。
22,ヘロディアの娘が入って来て踊りを踊り、ヘロデや列席の人々を喜ばせた。そこで王は少女に、「何でも欲しい物を求めなさい。おまえにあげよう」と言った。
23,そして、「おまえが願う物なら、私の国の半分でも与えよう」と堅く誓った。
24,そこで少女は出て行って、母親に言った。「何を願いましょうか。」すると母親は言った。「バプテスマのヨハネの首を。」
25,少女はすぐに、王のところに急いで行って願った。「今すぐに、バプテスマのヨハネの首を盆に載せて、いただきとうございます。」
26,王は非常に心を痛めたが、自分が誓ったことであり、列席の人たちの手前もあって、少女の願いを退けたくなかった。
27,そこで、すぐに護衛兵を遣わして、ヨハネの首を持って来るように命じた。護衛兵は行って、牢の中でヨハネの首をはね、
28,その首を盆に載せて持って来て、少女に渡した。少女はそれを母親に渡した。
29,このことを聞いたヨハネの弟子たちは、やって来て遺体を引き取り、墓に納めたのであった。
30,さて、使徒たちはイエスのもとに集まり、自分たちがしたこと、教えたことを、残らずイエスに報告した。
31,するとイエスは彼らに言われた。「さあ、あなたがただけで、寂しいところへ行って、しばらく休みなさい。」出入りする人が多くて、食事をとる時間さえなかったからである。
32,そこで彼らは、自分たちだけで舟に乗り、寂しいところに行った。

2018年12月9日日曜日

マルコ5:21-43

マルコの福音書
5章
21,イエスが再び舟で向こう岸に渡られると、大勢の群衆がみもとに集まって来た。イエスは湖のほとりにおられた。
22,すると、会堂司の一人でヤイロという人が来て、イエスを見るとその足もとにひれ伏して、
23,こう懇願した。「私の小さい娘が死にかけています。娘が救われて生きられるように、どうかおいでになって、娘の上に手を置いてやってください。」
24,そこで、イエスはヤイロと一緒に行かれた。すると大勢の群衆がイエスについて来て、イエスに押し迫った。
25,そこに、十二年の間、長血をわずらっている女の人がいた。
26,彼女は多くの医者からひどい目にあわされて、持っている物をすべて使い果たしたが、何のかいもなく、むしろもっと悪くなっていた。
27,彼女はイエスのことを聞き、群衆とともにやって来て、うしろからイエスの衣に触れた。
28,「あの方の衣にでも触れれば、私は救われる」と思っていたからである。
29,すると、すぐに血の源が乾いて、病気が癒やされたことをからだに感じた。
30,イエスも、自分のうちから力が出て行ったことにすぐ気がつき、群衆の中で振り向いて言われた。「だれがわたしの衣にさわったのですか。」
31,すると弟子たちはイエスに言った。「ご覧のとおり、群衆があなたに押し迫っています。それでも『だれがわたしにさわったのか』とおっしゃるのですか。」
32,しかし、イエスは周囲を見回して、だれがさわったのかを知ろうとされた。
33,彼女は自分の身に起こったことを知り、恐れおののきながら進み出て、イエスの前にひれ伏し、真実をすべて話した。
34,イエスは彼女に言われた。「娘よ、あなたの信仰があなたを救ったのです。安心して行きなさい。苦しむことなく、健やかでいなさい。」
35,イエスがまだ話しておられるとき、会堂司の家から人々が来て言った。「お嬢さんは亡くなりました。これ以上、先生を煩わすことがあるでしょうか。」
36,イエスはその話をそばで聞き、会堂司に言われた。「恐れないで、ただ信じていなさい。」
37,イエスは、ペテロとヤコブ、ヤコブの兄弟ヨハネのほかは、だれも自分と一緒に行くのをお許しにならなかった。
38,彼らは会堂司の家に着いた。イエスは、人々が取り乱して、大声で泣いたりわめいたりしているのを見て、
39,中に入って、彼らにこう言われた。「どうして取り乱したり、泣いたりしているのですか。その子は死んだのではありません。眠っているのです。」
40,人々はイエスをあざ笑った。しかし、イエスは皆を外に出し、子どもの父と母と、ご自分の供の者たちだけを連れて、その子のいるところに入って行かれた。
41,そして、子どもの手を取って言われた。「タリタ、クム。」訳すと、「少女よ、あなたに言う。起きなさい」という意味である。
42,すると、少女はすぐに起き上がり、歩き始めた。彼女は十二歳であった。それを見るや、人々は口もきけないほどに驚いた。
43,イエスは、このことをだれにも知らせないようにと厳しくお命じになり、また、少女に食べ物を与えるように言われた。

2018年12月8日土曜日

マルコ5:1-20

マルコの福音書
5章
1,こうして一行は、湖の向こう岸、ゲラサ人の地に着いた。
2,イエスが舟から上がられるとすぐに、汚れた霊につかれた人が、墓場から出て来てイエスを迎えた。
3,この人は墓場に住みついていて、もはやだれも、鎖を使ってでも、彼を縛っておくことができなかった。
4,彼はたびたび足かせと鎖でつながれたが、鎖を引きちぎり、足かせも砕いてしまい、だれにも彼を押さえることはできなかった。
5,それで、夜も昼も墓場や山で叫び続け、石で自分のからだを傷つけていたのである。
6,彼は遠くからイエスを見つけ、走って来て拝した。
7,そして大声で叫んで言った。「いと高き神の子イエスよ、私とあなたに何の関係があるのですか。神によってお願いします。私を苦しめないでください。」
8,イエスが、「汚れた霊よ、この人から出て行け」と言われたからである。
9,イエスが「おまえの名は何か」とお尋ねになると、彼は「私の名はレギオンです。私たちは大勢ですから」と言った。
10,そして、自分たちをこの地方から追い出さないでください、と懇願した。
11,ところで、そこの山腹では、おびただしい豚の群れが飼われていた。
12,彼らはイエスに懇願して言った。「私たちが豚に入れるように、豚の中に送ってください。」
13,イエスはそれを許された。そこで、汚れた霊どもは出て行って豚に入った。すると、二千匹ほどの豚の群れが崖を下って湖へなだれ込み、その湖でおぼれて死んだ。
14,豚を飼っていた人たちは逃げ出して、町や里でこのことを伝えた。人々は、何が起こったのかを見ようとやって来た。
15,そしてイエスのところに来ると、悪霊につかれていた人、すなわち、レギオンを宿していた人が服を着て、正気に返って座っているのを見て、恐ろしくなった。
16,見ていた人たちは、悪霊につかれていた人に起こったことや豚のことを、人々に詳しく話して聞かせた。
17,すると人々はイエスに、この地方から出て行ってほしいと懇願した。
18,イエスが舟に乗ろうとされると、悪霊につかれていた人がお供させてほしいとイエスに願った。
19,しかし、イエスはお許しにならず、彼にこう言われた。「あなたの家、あなたの家族のところに帰りなさい。そして、主があなたに、どんなに大きなことをしてくださったか、どんなにあわれんでくださったかを知らせなさい。」
20,それで彼は立ち去り、イエスが自分にどれほど大きなことをしてくださったかを、デカポリス地方で言い広め始めた。人々はみな驚いた。

2018年12月7日金曜日

マルコ4:21-41

マルコの福音書
4章
21,イエスはまた彼らに言われた。「明かりを持って来るのは、升の下や寝台の下に置くためでしょうか。燭台の上に置くためではありませんか。
22,隠れているもので、あらわにされないものはなく、秘められたもので、明らかにされないものはありません。
23,聞く耳があるなら、聞きなさい。」
24,また彼らに言われた。「聞いていることに注意しなさい。あなたがたは、自分が量るその秤で自分にも量り与えられ、その上に増し加えられます。
25,持っている人はさらに与えられ、持っていない人は、持っているものまで取り上げられてしまうからです。」
26,またイエスは言われた。「神の国はこのようなものです。人が地に種を蒔くと、
27,夜昼、寝たり起きたりしているうちに種は芽を出して育ちますが、どのようにしてそうなるのか、その人は知りません。
28,地はひとりでに実をならせ、初めに苗、次に穂、次に多くの実が穂にできます。
29,実が熟すと、すぐに鎌を入れます。収穫の時が来たからです。」
30,またイエスは言われた。「神の国はどのようにたとえたらよいでしょうか。どんなたとえで説明できるでしょうか。
31,それはからし種のようなものです。地に蒔かれるときは、地の上のどんな種よりも小さいのですが、
32,蒔かれると、生長してどんな野菜よりも大きくなり、大きな枝を張って、その陰に空の鳥が巣を作れるほどになります。」
33,イエスは、このような多くのたとえをもって、彼らの聞く力に応じてみことばを話された。
34,たとえを使わずに話されることはなかった。ただ、ご自分の弟子たちには、彼らだけがいるときに、すべてのことを解き明かされた。
35,さてその日、夕方になって、イエスは弟子たちに「向こう岸へ渡ろう」と言われた。
36,そこで弟子たちは群衆を後に残して、イエスを舟に乗せたままお連れした。ほかの舟も一緒に行った。
37,すると、激しい突風が起こって波が舟の中にまで入り、舟は水でいっぱいになった。
38,ところがイエスは、船尾で枕をして眠っておられた。弟子たちはイエスを起こして、「先生。私たちが死んでも、かまわないのですか」と言った。
39,イエスは起き上がって風を叱りつけ、湖に「黙れ、静まれ」と言われた。すると風はやみ、すっかり凪になった。
40,イエスは彼らに言われた。「どうして怖がるのですか。まだ信仰がないのですか。」
41,彼らは非常に恐れて、互いに言った。「風や湖までが言うことを聞くとは、いったいこの方はどなたなのだろうか。」

2018年12月6日木曜日

マルコ4:1-20

マルコの福音書
4章
1,イエスは、再び湖のほとりで教え始められた。非常に多くの群衆がみもとに集まったので、イエスは湖で、舟に乗って腰を下ろされた。群衆はみな、湖の近くの陸地にいた。
2,イエスは、多くのことをたとえによって教えられた。その教えの中でこう言われた。
3,「よく聞きなさい。種を蒔く人が種蒔きに出かけた。
4,蒔いていると、ある種が道端に落ちた。すると、鳥が来て食べてしまった。
5,また、別の種は土の薄い岩地に落ちた。土が深くなかったのですぐに芽を出したが、
6,日が昇るとしおれ、根づかずに枯れてしまった。
7,また、別の種は茨の中に落ちた。すると、茨が伸びてふさいでしまったので、実を結ばなかった。
8,また、別の種は良い地に落ちた。すると芽生え、育って実を結び、三十倍、六十倍、百倍になった。」
9,そしてイエスは言われた。「聞く耳のある者は聞きなさい。」
10,さて、イエスだけになったとき、イエスの周りにいた人たちが、十二人とともに、これらのたとえのことを尋ねた。
11,そこで、イエスは言われた。「あなたがたには神の国の奥義が与えられていますが、外の人たちには、すべてがたとえで語られるのです。
12,それはこうあるからです。『彼らは、見るには見るが知ることはなく、聞くには聞くが悟ることはない。彼らが立ち返って赦されることのないように。』」
13,そして、彼らにこう言われた。「このたとえが分からないのですか。そんなことで、どうしてすべてのたとえが理解できるでしょうか。
14,種蒔く人は、みことばを蒔くのです。
15,道端に蒔かれたものとは、こういう人たちのことです。みことばが蒔かれて彼らが聞くと、すぐにサタンが来て、彼らに蒔かれたみことばを取り去ります。
16,岩地に蒔かれたものとは、こういう人たちのことです。みことばを聞くと、すぐに喜んで受け入れますが、
17,自分の中に根がなく、しばらく続くだけです。後で、みことばのために困難や迫害が起こると、すぐにつまずいてしまいます。
18,もう一つの、茨の中に蒔かれたものとは、こういう人たちのことです。みことばを聞いたのに、
19,この世の思い煩いや、富の惑わし、そのほかいろいろな欲望が入り込んでみことばをふさぐので、実を結ぶことができません。
20,良い地に蒔かれたものとは、みことばを聞いて受け入れ、三十倍、六十倍、百倍の実を結ぶ人たちのことです。」

2018年12月5日水曜日

マルコ3:22-35

マルコの福音書
3章
22,また、エルサレムから下って来た律法学者たちも、「彼はベルゼブルにつかれている」とか、「悪霊どものかしらによって、悪霊どもを追い出している」と言っていた。
23,そこでイエスは彼らを呼び寄せて、たとえで語られた。「どうしてサタンがサタンを追い出せるのですか。
24,もし国が内部で分裂したら、その国は立ち行きません。
25,もし家が内部で分裂したら、その家は立ち行きません。
26,もし、サタンが自らに敵対して立ち、分裂したら、立ち行かずに滅んでしまいます。
27,まず強い者を縛り上げなければ、だれも、強い者の家に入って、家財を略奪することはできません。縛り上げれば、その家を略奪できます。
28,まことに、あなたがたに言います。人の子らは、どんな罪も赦していただけます。また、どれほど神を冒瀆することを言っても、赦していただけます。
29,しかし聖霊を冒瀆する者は、だれも永遠に赦されず、永遠の罪に定められます。」
30,このように言われたのは、彼らが、「イエスは汚れた霊につかれている」と言っていたからである。
31,さて、イエスの母と兄弟たちがやって来て、外に立ち、人を送ってイエスを呼んだ。
32,大勢の人がイエスを囲んで座っていた。彼らは「ご覧ください。あなたの母上と兄弟姉妹方が、あなたを捜して外に来ておられます」と言った。
33,すると、イエスは彼らに答えて「わたしの母、わたしの兄弟とはだれでしょうか」と言われた。
34,そして、ご自分の周りに座っている人たちを見回して言われた。「ご覧なさい。わたしの母、わたしの兄弟です。
35,だれでも神のみこころを行う人、その人がわたしの兄弟、姉妹、母なのです。」

2018年12月4日火曜日

マルコ3:1-21

マルコの福音書
3章
1,イエスは再び会堂に入られた。そこに片手の萎えた人がいた。
2,人々は、イエスがこの人を安息日に治すかどうか、じっと見ていた。イエスを訴えるためであった。
3,イエスは、片手の萎えたその人に言われた。「真ん中に立ちなさい。」
4,それから彼らに言われた。「安息日に律法にかなっているのは、善を行うことですか、それとも悪を行うことですか。いのちを救うことですか、それとも殺すことですか。」彼らは黙っていた。
5,イエスは怒って彼らを見回し、その心の頑なさを嘆き悲しみながら、その人に「手を伸ばしなさい」と言われた。彼が手を伸ばすと、手は元どおりになった。
6,パリサイ人たちは出て行ってすぐに、ヘロデ党の者たちと一緒に、どうやってイエスを殺そうかと相談し始めた。
7,それから、イエスは弟子たちとともに湖の方に退かれた。すると、ガリラヤから出て来た非常に大勢の人々がついて来た。また、ユダヤから、
8,エルサレムから、イドマヤから、ヨルダンの川向こうや、ツロ、シドンのあたりからも、非常に大勢の人々が、イエスが行っておられることを聞いて、みもとにやって来た。
9,イエスは、群衆が押し寄せて来ないように、ご自分のために小舟を用意しておくよう、弟子たちに言われた。
10,イエスが多くの人を癒やされたので、病気に悩む人たちがみな、イエスにさわろうとして、みもとに押し寄せて来たのである。
11,汚れた霊どもは、イエスを見るたびに御前にひれ伏して「あなたは神の子です」と叫んだ。
12,イエスはご自分のことを知らせないよう、彼らを厳しく戒められた。
13,さて、イエスが山に登り、ご自分が望む者たちを呼び寄せられると、彼らはみもとに来た。
14,イエスは十二人を任命し、彼らを使徒と呼ばれた。それは、彼らをご自分のそばに置くため、また彼らを遣わして宣教をさせ、
15,彼らに悪霊を追い出す権威を持たせるためであった。
16,こうしてイエスは十二人を任命された。シモンにはペテロという名をつけ、
17,ゼベダイの子ヤコブと、ヤコブの兄弟ヨハネ、この二人にはボアネルゲ、すなわち、雷の子という名をつけられた。
18,さらに、アンデレ、ピリポ、バルトロマイ、マタイ、トマス、アルパヨの子ヤコブ、タダイ、熱心党のシモン、
19,イスカリオテのユダを任命された。このユダがイエスを裏切ったのである。
20,さて、イエスは家に戻られた。すると群衆が再び集まって来たので、イエスと弟子たちは食事をする暇もなかった。
21,これを聞いて、イエスの身内の者たちはイエスを連れ戻しに出かけた。人々が「イエスはおかしくなった」と言っていたからである。

2018年12月3日月曜日

マルコ2

マルコの福音書
2章
1,数日たって、イエスが再びカペナウムに来られると、家におられることが知れ渡った。
2,それで多くの人が集まったため、戸口のところまで隙間もないほどになった。イエスは、この人たちにみことばを話しておられた。
3,すると、人々が一人の中風の人を、みもとに連れて来た。彼は四人の人に担がれていた。
4,彼らは群衆のためにイエスに近づくことができなかったので、イエスがおられるあたりの屋根をはがし、穴を開けて、中風の人が寝ている寝床をつり降ろした。
5,イエスは彼らの信仰を見て、中風の人に「子よ、あなたの罪は赦された」と言われた。
6,ところが、律法学者が何人かそこに座っていて、心の中であれこれと考えた。
7,「この人は、なぜこのようなことを言うのか。神を冒瀆している。神おひとりのほかに、だれが罪を赦すことができるだろうか。」
8,彼らが心のうちでこのようにあれこれと考えているのを、イエスはすぐにご自分の霊で見抜いて言われた。「なぜ、あなたがたは心の中でそんなことを考えているのか。
9,中風の人に『あなたの罪は赦された』と言うのと、『起きて、寝床をたたんで歩け』と言うのと、どちらが易しいか。
10,しかし、人の子が地上で罪を赦す権威を持っていることを、あなたがたが知るために──。」そう言って、中風の人に言われた。
11,「あなたに言う。起きなさい。寝床を担いで、家に帰りなさい。」
12,すると彼は立ち上がり、すぐに寝床を担ぎ、皆の前を出て行った。それで皆は驚き、「こんなことは、いまだかつて見たことがない」と言って神をあがめた。
13,イエスはまた湖のほとりへ出て行かれた。すると群衆がみな、みもとにやって来たので、彼らに教えられた。
14,イエスは道を通りながら、アルパヨの子レビが収税所に座っているのを見て、「わたしについて来なさい」と言われた。すると、彼は立ち上がってイエスに従った。
15,それからイエスは、レビの家で食卓に着かれた。取税人たちや罪人たちも大勢、イエスや弟子たちとともに食卓に着いていた。大勢の人々がいて、イエスに従っていたのである。
16,パリサイ派の律法学者たちは、イエスが罪人や取税人たちと一緒に食事をしているのを見て、弟子たちに言った。「なぜ、あの人は取税人や罪人たちと一緒に食事をするのですか。」
17,これを聞いて、イエスは彼らにこう言われた。「医者を必要とするのは、丈夫な人ではなく病人です。わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招くためです。」
18,さて、ヨハネの弟子たちとパリサイ人たちは、断食をしていた。そこで、人々はイエスのもとに来て言った。「ヨハネの弟子たちやパリサイ人の弟子たちは断食をしているのに、なぜあなたの弟子たちは断食をしないのですか。」
19,イエスは彼らに言われた。「花婿に付き添う友人たちは、花婿が一緒にいる間、断食できるでしょうか。花婿が一緒にいる間は、断食できないのです。
20,しかし、彼らから花婿が取り去られる日が来ます。その日には断食をします。
21,だれも、真新しい布切れで古い衣に継ぎを当てたりはしません。そんなことをすれば、継ぎ切れが衣を、新しいものが古いものを引き裂き、破れはもっとひどくなります。
22,まただれも、新しいぶどう酒を古い皮袋に入れたりはしません。そんなことをすれば、ぶどう酒は皮袋を裂き、ぶどう酒も皮袋もだめになります。新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れるものです。」
23,ある安息日に、イエスが麦畑を通っておられたときのことである。弟子たちは、道を進みながら穂を摘み始めた。
24,すると、パリサイ人たちがイエスに言った。「ご覧なさい。なぜ彼らは、安息日にしてはならないことをするのですか。」
25,イエスは言われた。「ダビデと供の者たちが食べ物がなくて空腹になったとき、ダビデが何をしたか、読んだことがないのですか。
26,大祭司エブヤタルのころ、どのようにして、ダビデが神の家に入り、祭司以外の人が食べてはならない臨在のパンを食べて、一緒にいた人たちにも与えたか、読んだことがないのですか。」
27,そして言われた。「安息日は人のために設けられたのです。人が安息日のために造られたのではありません。
28,ですから、人の子は安息日にも主です。」

2018年12月2日日曜日

マルコ1:23-41

マルコの福音書

1章
23,ちょうどそのとき、汚れた霊につかれた人がその会堂にいて、こう叫んだ。
24,「ナザレの人イエスよ、私たちと何の関係があるのですか。私たちを滅ぼしに来たのですか。私はあなたがどなたなのか知っています。神の聖者です。」
25,イエスは彼を叱って、「黙れ。この人から出て行け」と言われた。
26,すると、汚れた霊はその人を引きつけさせ、大声をあげて、その人から出て行った。
27,人々はみな驚いて、互いに論じ合った。「これは何だ。権威ある新しい教えだ。この方が汚れた霊にお命じになると、彼らは従うのだ。」
28,こうして、イエスの評判はすぐに、ガリラヤ周辺の全域、いたるところに広まった。
29,一行は会堂を出るとすぐに、シモンとアンデレの家に入った。ヤコブとヨハネも一緒であった。
30,シモンの姑が熱を出して横になっていたので、人々はさっそく、彼女のことをイエスに知らせた。
31,イエスはそばに近寄り、手を取って起こされた。すると熱がひいた。彼女は人々をもてなした。
32,夕方になり日が沈むと、人々は病人や悪霊につかれた人をみな、イエスのもとに連れて来た。
33,こうして町中の人が戸口に集まって来た。
34,イエスは、様々な病気にかかっている多くの人を癒やされた。また、多くの悪霊を追い出し、悪霊どもがものを言うのをお許しにならなかった。彼らがイエスのことを知っていたからである。
35,さて、イエスは朝早く、まだ暗いうちに起きて寂しいところに出かけて行き、そこで祈っておられた。
36,すると、シモンとその仲間たちがイエスの後を追って来て、
37,彼を見つけ、「皆があなたを捜しています」と言った。
38,イエスは彼らに言われた。「さあ、近くにある別の町や村へ行こう。わたしはそこでも福音を伝えよう。そのために、わたしは出て来たのだから。」
39,こうしてイエスは、ガリラヤ全域にわたって、彼らの会堂で宣べ伝え、悪霊を追い出しておられた。
40,さて、ツァラアトに冒された人がイエスのもとに来て、ひざまずいて懇願した。「お心一つで、私をきよくすることがおできになります。」
41,イエスは深くあわれみ、手を伸ばして彼にさわり、「わたしの心だ。きよくなれ」と言われた。
42,すると、すぐにツァラアトが消えて、その人はきよくなった。
43,イエスは彼を厳しく戒めて、すぐに立ち去らせた。
44,そのとき彼にこう言われた。「だれにも何も話さないように気をつけなさい。ただ行って、自分を祭司に見せなさい。そして、人々への証しのために、モーセが命じた物をもって、あなたのきよめのささげ物をしなさい。」
45,ところが、彼は出て行ってふれ回り、この出来事を言い広め始めた。そのため、イエスはもはや表立って町に入ることができず、町の外の寂しいところにおられた。しかし、人々はいたるところからイエスのもとにやって来た。

2018年12月1日土曜日

マルコ1:1-22

マルコの福音書

1章
1,神の子、イエス・キリストの福音のはじめ。
2,預言者イザヤの書にこのように書かれている。「見よ。わたしは、わたしの使いをあなたの前に遣わす。彼はあなたの道を備える。
3,荒野で叫ぶ者の声がする。『主の道を用意せよ。主の通られる道をまっすぐにせよ。』」そのとおりに、
4,バプテスマのヨハネが荒野に現れ、罪の赦しに導く悔い改めのバプテスマを宣べ伝えた。
5,ユダヤ地方の全域とエルサレムの住民はみな、ヨハネのもとにやって来て、自分の罪を告白し、ヨルダン川で彼からバプテスマを受けていた。
6,ヨハネはらくだの毛の衣を着て、腰に革の帯を締め、いなごと野蜜を食べていた。
7,ヨハネはこう宣べ伝えた。「私よりも力のある方が私の後に来られます。私には、かがんでその方の履き物のひもを解く資格もありません。
8,私はあなたがたに水でバプテスマを授けましたが、この方は聖霊によってバプテスマをお授けになります。」
9,そのころ、イエスはガリラヤのナザレからやって来て、ヨルダン川でヨハネからバプテスマを受けられた。
10,イエスは、水の中から上がるとすぐに、天が裂けて御霊が鳩のようにご自分に降って来るのをご覧になった。
11,すると天から声がした。「あなたはわたしの愛する子。わたしはあなたを喜ぶ。」
12,それからすぐに、御霊はイエスを荒野に追いやられた。
13,イエスは四十日間荒野にいて、サタンの試みを受けられた。イエスは野の獣とともにおられ、御使いたちが仕えていた。
14,ヨハネが捕らえられた後、イエスはガリラヤに行き、神の福音を宣べ伝えて言われた。
15,「時が満ち、神の国が近づいた。悔い改めて福音を信じなさい。」
16,イエスはガリラヤ湖のほとりを通り、シモンとシモンの兄弟アンデレが、湖で網を打っているのをご覧になった。彼らは漁師であった。
17,イエスは彼らに言われた。「わたしについて来なさい。人間をとる漁師にしてあげよう。」
18,すると、彼らはすぐに網を捨てて、イエスに従った。
19,また少し先に行き、ゼベダイの子ヤコブと、その兄弟ヨハネをご覧になった。彼らは舟の中で網を繕っていた。
20,イエスはすぐに彼らをお呼びになった。すると彼らは、父ゼベダイを雇い人たちとともに舟に残して、イエスの後について行った。
21,それから、一行はカペナウムに入った。イエスはさっそく、安息日に会堂に入って教えられた。
22,人々はその教えに驚いた。イエスが、律法学者たちのようにではなく、権威ある者として教えられたからである。

復活

ルカ 24:1~8 1 週の初めの日の明け方早く、彼女たちは準備しておいた香料を持って墓に来た。 2 見ると、石が墓からわきに転がされていた。 3 そこで中に入ると、主イエスのからだは見当たらなかった。 4 そのため途方に暮れていると、見よ、まばゆいばかりの衣を着た人が二人《ふた...