2018年5月31日木曜日

使徒7:20-43

使徒の働き
7章
20,モーセが生まれたのは、このような時でした。彼は神の目にかなった、かわいい子で、三か月の間、父の家で育てられましたが、
21,ついに捨てられたのをファラオの娘が拾い上げ、自分の子として育てました。
22,モーセは、エジプト人のあらゆる学問を教え込まれ、ことばにも行いにも力がありました。
23,モーセが四十歳になったとき、自分の同胞であるイスラエルの子らを顧みる思いが、その心に起こりました。
24,そして、同胞の一人が虐待されているのを見て、その人をかばい、エジプト人を打ち殺して、ひどい目にあっていた人のために仕返しをしました。
25,モーセは、自分の手によって神が同胞に救いを与えようとしておられることを、皆が理解してくれるものと思っていましたが、彼らは理解しませんでした。
26,翌日、モーセは同胞たちが争っているところに現れ、和解させようとして言いました。『あなたがたは兄弟だ。どうして互いに傷つけ合うのか。』
27,すると、隣人を傷つけていた者が、モーセを押しのけながら言いました。『だれがおまえを、指導者やさばき人として私たちの上に任命したのか。
28,昨日エジプト人を殺したように、私も殺すつもりか。』
29,このことばを聞いたモーセは逃げて、ミディアンの地で寄留者となり、そこで男の子を二人もうけました。
30,四十年たったとき、シナイ山の荒野において、柴の茂みの燃える炎の中で、御使いがモーセに現れました。
31,その光景を見たモーセは驚き、それをよく見ようとして近寄ったところ、主の御声が聞こえました。
32,『わたしは、あなたの父祖たちの神、アブラハム、イサク、ヤコブの神である。』モーセは震え上がり、あえて見ようとはしませんでした。
33,すると、主は彼にこう言われました。『あなたの履き物を脱げ。あなたの立っている場所は聖なる地である。
34,わたしは、エジプトにいるわたしの民の苦しみを確かに見た。また彼らのうめきを聞いた。だから、彼らを救い出すために下って来たのだ。今、行け。わたしは、あなたをエジプトに遣わす。』
35,『だれがおまえを、指導者やさばき人として任命したのか』と言って人々が拒んだこのモーセを、神は、柴の茂みの中で彼に現れた御使いの手によって、指導者また解放者として遣わされたのです。
36,この人が人々を導き出し、エジプトの地で、紅海で、また四十年の間荒野で、不思議としるしを行いました。
37,このモーセが、イスラエルの子らにこう言ったのです。『神は、あなたがたの同胞の中から、私のような一人の預言者をあなたがたのために起こされる。』
38,また、モーセは、シナイ山で彼に語った御使いや私たちの先祖たちとともに、荒野の集会にいて、私たちに与えるための生きたみことばを授かりました。
39,ところが私たちの先祖たちは、彼に従うことを好まず、かえって彼を退け、エジプトをなつかしく思って、
40,アロンに言いました。『われわれに先立って行く神々を、われわれのために造ってほしい。われわれをエジプトの地から導き出した、あのモーセがどうなったのか、分からないから。』
41,彼らが子牛を造ったのはそのころで、彼らはこの偶像にいけにえを献げ、自分たちの手で造った物を楽しんでいました。
42,そこで、神は彼らに背を向け、彼らが天の万象に仕えるに任せられました。預言者たちの書に書いてあるとおりです。『イスラエルの家よ。あなたがたは荒野にいた四十年の間に、いけにえとささげ物を、わたしのところに携えて来たことがあったか。
43,あなたがたは、モレクの幕屋と神ライパンの星を担いでいた。それらは、あなたがたが拝むために造った像ではないか。わたしはあなたがたを、バビロンのかなたへ捕らえ移す。』

2018年5月30日水曜日

使徒7:1-19

使徒の働き
7章
1,大祭司は、「そのとおりなのか」と尋ねた。
2,するとステパノは言った。「兄弟ならびに父である皆さん、聞いてください。私たちの父アブラハムがハランに住む以前、まだメソポタミアにいたとき、栄光の神が彼に現れ、
3,『あなたの土地、あなたの親族を離れて、わたしが示す地へ行きなさい』と言われました。
4,そこで、アブラハムはカルデア人の地を出て、ハランに住みました。そして父の死後、神はそこから彼を、今あなたがたが住んでいるこの地に移されましたが、
5,ここでは、足の踏み場となる土地さえも、相続財産として彼にお与えになりませんでした。しかし神は、まだ子がいなかった彼に対して、この地を彼とその後の子孫に所有地として与えることを約束されました。
6,また、神は次のように言われました。『彼の子孫は他国の地で寄留者となり、四百年の間、奴隷となって苦しめられる。』
7,また、神は言われました。『彼らが奴隷として仕えるその国民を、わたしはさばく。それから彼らは出て来て、この場所でわたしに仕えるようになる。』
8,そして、神はアブラハムに割礼の契約を与えられました。こうして、アブラハムはイサクを生み、八日目にその子に割礼を施しました。それからイサクはヤコブを、ヤコブは十二人の族長たちを生みました。
9,族長たちはヨセフをねたんで、彼をエジプトに売りとばしました。しかし、神は彼とともにおられ、
10,あらゆる苦難から彼を救い出し、エジプト王ファラオの前で恵みと知恵を与えられたので、ファラオは彼をエジプトと王の全家を治める高官に任じました。
11,すると、エジプトとカナンの全地に飢饉が起こり、大きな苦難が襲って来たので、私たちの父祖たちは食べ物を手に入れることができなくなりました。
12,しかし、ヤコブはエジプトに穀物があると聞いて、まず私たちの父祖たちを遣わしました。
13,二度目のとき、ヨセフは兄弟たちに自分のことを打ち明け、ヨセフの家族のことがファラオに明らかになりました。
14,そこで、ヨセフは人を遣わして、自分の父ヤコブと七十五人の親族全員を呼び寄せました。
15,こうして、ヤコブはエジプトに下り、そこで彼も私たちの父祖たちも死にました。
16,彼らはシェケムに運ばれ、かつてアブラハムがいくらかの銀でシェケムのハモルの子らから買っておいた墓に、葬られました。
17,さて、神がアブラハムになされた約束の時が近づくにしたがい、民はエジプトで大いに数が増え、
18,ヨセフのことを知らない別の王がエジプトに起こる時まで続きました。
19,この王は、私たちの同胞に対して策略をめぐらし、私たちの先祖たちを苦しめて幼子を捨てさせ、生かしておけないようにしました。

2018年5月29日火曜日

使徒6

使徒の働き
6章
1,そのころ、弟子の数が増えるにつれて、ギリシア語を使うユダヤ人たちから、ヘブル語を使うユダヤ人たちに対して苦情が出た。彼らのうちのやもめたちが、毎日の配給においてなおざりにされていたからである。
2,そこで、十二人は弟子たち全員を呼び集めてこう言った。「私たちが神のことばを後回しにして、食卓のことに仕えるのは良くありません。
3,そこで、兄弟たち。あなたがたの中から、御霊と知恵に満ちた、評判の良い人たちを七人選びなさい。その人たちにこの務めを任せることにして、
4,私たちは祈りと、みことばの奉仕に専念します。」
5,この提案を一同はみな喜んで受け入れた。そして彼らは、信仰と聖霊に満ちた人ステパノ、およびピリポ、プロコロ、ニカノル、ティモン、パルメナ、そしてアンティオキアの改宗者ニコラオを選び、
6,この人たちを使徒たちの前に立たせた。使徒たちは祈って、彼らの上に手を置いた。
7,こうして、神のことばはますます広まっていき、エルサレムで弟子の数が非常に増えていった。また、祭司たちが大勢、次々と信仰に入った。
8,さて、ステパノは恵みと力に満ち、人々の間で大いなる不思議としるしを行っていた。
9,ところが、リベルテンと呼ばれる会堂に属する人々、クレネ人、アレクサンドリア人、またキリキアやアジアから来た人々が立ち上がって、ステパノと議論した。
10,しかし、彼が語るときの知恵と御霊に対抗することはできなかった。
11,そこで、彼らはある人たちをそそのかして、「私たちは、彼がモーセと神を冒瀆することばを語るのを聞いた」と言わせた。
12,また、民衆と長老たちと律法学者たちを扇動し、ステパノを襲って捕らえ、最高法院に引いて行った。
13,そして偽りの証人たちを立てて言わせた。「この人は、この聖なる所と律法に逆らうことばを語るのをやめません。
14,『あのナザレ人イエスは、この聖なる所を壊し、モーセが私たちに伝えた慣習を変える』と彼が言うのを、私たちは聞きました。」
15,最高法院で席に着いていた人々が、みなステパノに目を注ぐと、彼の顔は御使いの顔のように見えた。

2018年5月28日月曜日

使徒5:17-42

使徒の働き
5章
17,そこで、大祭司とその仲間たち、すなわちサドカイ派の者たちはみな、ねたみに燃えて立ち上がり、
18,使徒たちに手をかけて捕らえ、彼らを公の留置場に入れた。
19,ところが、夜、主の使いが牢の戸を開け、彼らを連れ出し、
20,「行って宮の中に立ち、人々にこのいのちのことばをすべて語りなさい」と言った。
21,彼らはこれを聞くと、夜明けごろ宮に入って教え始めた。一方、大祭司とその仲間たちは集まって、最高法院、すなわちイスラエルの子らの全長老会を召集し、使徒たちを引き出して来させるために、人を牢獄に遣わした。
22,ところが、下役たちが行ってみると、牢の中に彼らはいなかった。それで引き返して、こう報告した。
23,「牢獄は完全に鍵がかかっていて、番人たちが戸口に立っていました。しかし、開けてみると、中にはだれもいませんでした。」
24,宮の守衛長や祭司長たちは、このことばを聞くと、いったいどうなることかと、使徒たちのことで当惑した。
25,そこへ、ある人がやって来て、「ご覧ください。あなたがたが牢に入れた者たちが、宮の中に立って人々を教えています」と告げた。
26,そこで、宮の守衛長は下役たちと一緒に出て行き、使徒たちを連れて来たが、手荒なことはしなかった。人々に石で打たれるのを恐れたのである。
27,彼らが使徒たちを連れて来て最高法院の中に立たせると、大祭司は使徒たちを尋問した。
28,「あの名によって教えてはならないと厳しく命じておいたではないか。それなのに、何ということだ。おまえたちはエルサレム中に自分たちの教えを広めてしまった。そして、あの人の血の責任をわれわれに負わせようとしている。」
29,しかし、ペテロと使徒たちは答えた。「人に従うより、神に従うべきです。
30,私たちの父祖の神は、あなたがたが木にかけて殺したイエスを、よみがえらせました。
31,神は、イスラエルを悔い改めさせ、罪の赦しを与えるために、このイエスを導き手、また救い主として、ご自分の右に上げられました。
32,私たちはこれらのことの証人です。神がご自分に従う者たちにお与えになった聖霊も証人です。」
33,これを聞いて、彼らは怒り狂い、使徒たちを殺そうと考えた。
34,ところが、民全体に尊敬されている律法の教師で、ガマリエルというパリサイ人が議場に立ち、使徒たちをしばらく外に出すように命じ、
35,それから議員たちに向かってこう言った。「イスラエルの皆さん、この者たちをどう扱うか、よく気をつけてください。
36,先ごろテウダが立ち上がって、自分を何か偉い者のように言い、彼に従った男の数が四百人ほどになりました。しかし彼は殺され、従った者たちはみな散らされて、跡形もなくなりました。
37,彼の後、住民登録の時に、ガリラヤ人のユダが立ち上がり、民をそそのかして反乱を起こしましたが、彼も滅び、彼に従った者たちもみな散らされてしまいました。
38,そこで今、私はあなたがたに申し上げたい。この者たちから手を引き、放っておきなさい。もしその計画や行動が人間から出たものなら、自滅するでしょう。
39,しかし、もしそれが神から出たものなら、彼らを滅ぼすことはできないでしょう。もしかすると、あなたがたは神に敵対する者になってしまいます。」議員たちは彼の意見に従い、
40,使徒たちを呼び入れて、むちで打ち、イエスの名によって語ってはならないと命じたうえで、釈放した。
41,使徒たちは、御名のために辱められるに値する者とされたことを喜びながら、最高法院から出て行った。
42,そして毎日、宮や家々でイエスがキリストであると教え、宣べ伝えることをやめなかった。

2018年5月27日日曜日

使徒5:1-16

使徒の働き
5章
1,ところが、アナニアという人は、妻のサッピラとともに土地を売り、
2,妻も承知のうえで、代金の一部を自分のために取っておき、一部だけを持って来て、使徒たちの足もとに置いた。
3,すると、ペテロは言った。「アナニア。なぜあなたはサタンに心を奪われて聖霊を欺き、地所の代金の一部を自分のために取っておいたのか。
4,売らないでおけば、あなたのものであり、売った後でも、あなたの自由になったではないか。どうして、このようなことを企んだのか。あなたは人を欺いたのではなく、神を欺いたのだ。」
5,このことばを聞くと、アナニアは倒れて息が絶えた。これを聞いたすべての人たちに、大きな恐れが生じた。
6,若者たちは立ち上がって彼のからだを包み、運び出して葬った。
7,さて、三時間ほどたって、アナニアの妻がこの出来事を知らずに入って来た。
8,ペテロは彼女に言った。「あなたがたは地所をこの値段で売ったのか。私に言いなさい。」彼女は「はい、その値段です」と言った。
9,そこでペテロは彼女に言った。「なぜあなたがたは、心を合わせて主の御霊を試みたのか。見なさい。あなたの夫を葬った人たちの足が戸口まで来ている。彼らがあなたを運び出すことになる。」
10,すると、即座に彼女はペテロの足もとに倒れて、息絶えた。入って来た若者たちは、彼女が死んでいるのを見て運び出し、夫のそばに葬った。
11,そして、教会全体と、このことを聞いたすべての人たちに、大きな恐れが生じた。
12,さて、使徒たちの手により、多くのしるしと不思議が人々の間で行われた。皆は心を一つにしてソロモンの回廊にいた。
13,ほかの人たちはだれもあえて彼らの仲間に加わろうとはしなかったが、民は彼らを尊敬していた。
14,そして、主を信じる者たちはますます増え、男も女も大勢になった。
15,そしてついには、病人を大通りへ運び出し、寝台や寝床の上に寝かせて、ペテロが通りかかるときには、せめてその影だけでも、病人のだれかにかかるようにするほどになった。
16,また、エルサレム付近の町々から大勢の人が、病人や、汚れた霊に苦しめられている人々を連れて集まって来た。その人々はみな癒やされた。

2018年5月26日土曜日

使徒4:23-37

使徒の働き
4章
23,さて、釈放された二人は仲間のところに行き、祭司長たちや長老たちが彼らに言ったことを残らず報告した。
24,これを聞いた人々は心を一つにして、神に向かって声をあげた。「主よ。あなたは天と地と海、またそれらの中のすべてのものを造られた方です。
25,あなたは聖霊によって、あなたのしもべであり私たちの父であるダビデの口を通して、こう言われました。『なぜ、異邦人たちは騒ぎ立ち、もろもろの国民はむなしいことを企むのか。
26,地の王たちは立ち構え、君主たちは相ともに集まるのか、主と、主に油注がれた者に対して。』
27,事実、ヘロデとポンティオ・ピラトは、異邦人たちやイスラエルの民とともに、あなたが油を注がれた、あなたの聖なるしもべイエスに逆らってこの都に集まり、
28,あなたの御手とご計画によって、起こるように前もって定められていたことすべてを行いました。
29,主よ。今、彼らの脅かしをご覧になって、しもべたちにあなたのみことばを大胆に語らせてください。
30,また、御手を伸ばし、あなたの聖なるしもべイエスの名によって、癒やしとしるしと不思議を行わせてください。」
31,彼らが祈り終えると、集まっていた場所が揺れ動き、一同は聖霊に満たされ、神のことばを大胆に語り出した。
32,さて、信じた大勢の人々は心と思いを一つにして、だれ一人自分が所有しているものを自分のものと言わず、すべてを共有していた。
33,使徒たちは、主イエスの復活を大きな力をもって証しし、大きな恵みが彼ら全員の上にあった。
34,彼らの中には、一人も乏しい者がいなかった。地所や家を所有している者はみな、それを売り、その代金を持って来て、
35,使徒たちの足もとに置いた。その金が、必要に応じてそれぞれに分け与えられたのであった。
36,キプロス生まれのレビ人で、使徒たちにバルナバ(訳すと、慰めの子)と呼ばれていたヨセフも、
37,所有していた畑を売り、その代金を持って来て、使徒たちの足もとに置いた。

2018年5月25日金曜日

使徒4:1-22

使徒の働き
4章
1,ペテロとヨハネが民に話していると、祭司たち、宮の守衛長、サドカイ人たちが二人のところにやって来た。
2,彼らは、二人が民を教え、イエスを例にあげて死者の中からの復活を宣べ伝えていることに苛立ち、
3,二人に手をかけて捕らえた。そして、翌日まで留置することにした。すでに夕方だったからである。
4,しかし、話を聞いた人々のうち大勢が信じ、男の数が五千人ほどになった。
5,翌日、民の指導者たち、長老たち、律法学者たちは、エルサレムに集まった。
6,大祭司アンナス、カヤパ、ヨハネ、アレクサンドロと、大祭司の一族もみな出席した。
7,彼らは二人を真ん中に立たせて、「おまえたちは何の権威によって、また、だれの名によってあのようなことをしたのか」と尋問した。
8,そのとき、ペテロは聖霊に満たされて、彼らに言った。「民の指導者たち、ならびに長老の方々。
9,私たちが今日取り調べを受けているのが、一人の病人に対する良いわざと、その人が何によって癒やされたのかということのためなら、
10,皆さんも、またイスラエルのすべての民も、知っていただきたい。この人が治ってあなたがたの前に立っているのは、あなたがたが十字架につけ、神が死者の中からよみがえらせたナザレ人イエス・キリストの名によることです。
11,『あなたがた家を建てる者たちに捨てられた石、それが要の石となった』というのは、この方のことです。
12,この方以外には、だれによっても救いはありません。天の下でこの御名のほかに、私たちが救われるべき名は人間に与えられていないからです。」
13,彼らはペテロとヨハネの大胆さを見、また二人が無学な普通の人であるのを知って驚いた。また、二人がイエスとともにいたのだということも分かってきた。
14,そして、癒やされた人が二人と一緒に立っているのを見ては、返すことばもなかった。
15,彼らは二人に議場の外に出るように命じ、協議して言った。
16,「あの者たちをどうしようか。あの者たちによって著しいしるしが行われたことは、エルサレムのすべての住民に知れ渡っていて、われわれはそれを否定しようもない。
17,しかし、これ以上民の間に広まらないように、今後だれにもこの名によって語ってはならない、と彼らを脅しておこう。」
18,そこで、彼らは二人を呼んで、イエスの名によって語ることも教えることも、いっさいしてはならないと命じた。
19,しかし、ペテロとヨハネは彼らに答えた。「神に聞き従うよりも、あなたがたに聞き従うほうが、神の御前に正しいかどうか、判断してください。
20,私たちは、自分たちが見たことや聞いたことを話さないわけにはいきません。」
21,そこで彼らは、二人をさらに脅したうえで釈放した。それは、皆の者がこの出来事のゆえに神をあがめていたので、人々の手前、二人を罰する術がなかったからである。
22,このしるしによって癒やされた人は、四十歳を過ぎていた。

2018年5月24日木曜日

使徒3

使徒の働き
3章
1,ペテロとヨハネは、午後三時の祈りの時間に宮に上って行った。
2,すると、生まれつき足の不自由な人が運ばれて来た。この人は、宮に入る人たちから施しを求めるために、毎日「美しの門」と呼ばれる宮の門に置いてもらっていた。
3,彼は、ペテロとヨハネが宮に入ろうとするのを見て、施しを求めた。
4,ペテロは、ヨハネとともにその人を見つめて、「私たちを見なさい」と言った。
5,彼は何かもらえると期待して、二人に目を注いだ。
6,すると、ペテロは言った。「金銀は私にはない。しかし、私にあるものをあげよう。ナザレのイエス・キリストの名によって立ち上がり、歩きなさい。」
7,そして彼の右手を取って立たせた。するとたちまち、彼の足とくるぶしが強くなり、
8,躍り上がって立ち、歩き出した。そして、歩いたり飛び跳ねたりしながら、神を賛美しつつ二人と一緒に宮に入って行った。
9,人々はみな、彼が歩きながら神を賛美しているのを見た。
10,そしてそれが、宮の美しの門のところで施しを求めて座っていた人だと分かると、彼の身に起こったことに、ものも言えないほど驚いた。
11,この人がペテロとヨハネにつきまとっているうちに、非常に驚いた人々がみな、「ソロモンの回廊」と呼ばれる場所にいた彼らのところに、一斉に駆け寄って来た。
12,これを見たペテロは、人々に向かって言った。「イスラエルの皆さん、どうしてこのことに驚いているのですか。どうして、私たちが自分の力や敬虔さによって彼を歩かせたかのように、私たちを見つめるのですか。
13,アブラハム、イサク、ヤコブの神、すなわち私たちの父祖たちの神は、そのしもべイエスに栄光をお与えになりました。あなたがたはこの方を引き渡し、ピラトが釈放すると決めたのに、その面前でこの方を拒みました。
14,あなたがたは、この聖なる正しい方を拒んで、人殺しの男を赦免するように要求し、
15,いのちの君を殺したのです。しかし、神はこのイエスを死者の中からよみがえらせました。私たちはそのことの証人です。
16,このイエスの名が、その名を信じる信仰のゆえに、あなたがたが今見て知っているこの人を強くしました。イエスによって与えられる信仰が、この人を皆さんの前で、このとおり完全なからだにしたのです。
17,さて兄弟たち。あなたがたが、自分たちの指導者たちと同様に、無知のためにあのような行いをしたことを、私は知っています。
18,しかし神は、すべての預言者たちの口を通してあらかじめ告げておられたこと、すなわち、キリストの受難をこのように実現されました。
19,ですから、悔い改めて神に立ち返りなさい。そうすれば、あなたがたの罪はぬぐい去られます。
20,そうして、主の御前から回復の時が来て、あなたがたのためにあらかじめキリストとして定められていたイエスを、主は遣わしてくださいます。
21,このイエスは、神が昔からその聖なる預言者たちの口を通して語られた、万物が改まる時まで、天にとどまっていなければなりません。
22,モーセはこう言いました。『あなたがたの神、主は、あなたがたの同胞の中から、私のような一人の預言者をあなたがたのために起こされる。彼があなたがたに告げることすべてに聞き従わなければならない。
23,その預言者に聞き従わない者はだれでも、自分の民から断ち切られる。』
24,また、サムエルをはじめ、彼に続いて語った預言者たちもみな、今の時について告げ知らせました。
25,あなたがたは預言者たちの子であり、契約の子です。この契約は、神がアブラハムに『あなたの子孫によって、地のすべての民族は祝福を受けるようになる』と言って、あなたがたの父祖たちと結ばれたものです。
26,神はまず、そのしもべを立てて、あなたがたに遣わされました。その方が、あなたがた一人ひとりを悪から立ち返らせて、祝福にあずからせてくださるのです。」

2018年5月23日水曜日

使徒2:14-47

使徒の働き
2章
14,ペテロは十一人とともに立って、声を張り上げ、人々に語りかけた。「ユダヤの皆さん、ならびにエルサレムに住むすべての皆さん、あなたがたにこのことを知っていただきたい。私のことばに耳を傾けていただきたい。
15,今は朝の九時ですから、この人たちは、あなたがたが思っているように酔っているのではありません。
16,これは、預言者ヨエルによって語られたことです。
17,『神は言われる。終わりの日に、わたしはすべての人にわたしの霊を注ぐ。あなたがたの息子や娘は預言し、青年は幻を見、老人は夢を見る。
18,その日わたしは、わたしのしもべにも、はしためにも、わたしの霊を注ぐ。すると彼らは預言する。
19,また、わたしは上は天に不思議を、下は地にしるしを現れさせる。それは血と火と立ち上る煙。
20,主の大いなる輝かしい日が来る前に、太陽は闇に、月は血に変わる。
21,しかし、主の御名を呼び求める者はみな救われる。』
22,イスラエルの皆さん、これらのことばを聞いてください。神はナザレ人イエスによって、あなたがたの間で力あるわざと不思議としるしを行い、それによって、あなたがたにこの方を証しされました。それは、あなたがた自身がご承知のことです。
23,神が定めた計画と神の予知によって引き渡されたこのイエスを、あなたがたは律法を持たない人々の手によって十字架につけて殺したのです。
24,しかし神は、イエスを死の苦しみから解き放って、よみがえらせました。この方が死につながれていることなど、あり得なかったからです。
25,ダビデは、この方について次のように言っています。『私はいつも、主を前にしています。主が私の右におられるので、私は揺るがされることはありません。
26,それゆえ、私の心は喜び、私の舌は喜びにあふれます。私の身も、望みの中に住まいます。
27,あなたは、私のたましいをよみに捨て置かず、あなたにある敬虔な者に滅びをお見せにならないからです。
28,あなたは私に、いのちの道を知らせてくださいます。あなたの御前で、私を喜びで満たしてくださいます。』
29,兄弟たち。父祖ダビデについては、あなたがたに確信をもって言うことができます。彼は死んで葬られ、その墓は今日に至るまで私たちの間にあります。
30,彼は預言者でしたから、自分の子孫の一人を自分の王座に就かせると、神が誓われたことを知っていました。
31,それで、後のことを予見し、キリストの復活について、『彼はよみに捨て置かれず、そのからだは朽ちて滅びることがない』と語ったのです。
32,このイエスを、神はよみがえらせました。私たちはみな、そのことの証人です。
33,ですから、神の右に上げられたイエスが、約束された聖霊を御父から受けて、今あなたがたが目にし、耳にしている聖霊を注いでくださったのです。
34,ダビデが天に上ったのではありません。彼自身こう言っています。『主は、私の主に言われた。あなたは、わたしの右の座に着いていなさい。
35,わたしがあなたの敵をあなたの足台とするまで。』
36,ですから、イスラエルの全家は、このことをはっきりと知らなければなりません。神が今や主ともキリストともされたこのイエスを、あなたがたは十字架につけたのです。」
37,人々はこれを聞いて心を刺され、ペテロとほかの使徒たちに、「兄弟たち、私たちはどうしたらよいでしょうか」と言った。
38,そこで、ペテロは彼らに言った。「それぞれ罪を赦していただくために、悔い改めて、イエス・キリストの名によってバプテスマを受けなさい。そうすれば、賜物として聖霊を受けます。
39,この約束は、あなたがたに、あなたがたの子どもたちに、そして遠くにいるすべての人々に、すなわち、私たちの神である主が召される人ならだれにでも、与えられているのです。」
40,ペテロは、ほかにも多くのことばをもって証しをし、「この曲がった時代から救われなさい」と言って、彼らに勧めた。
41,彼のことばを受け入れた人々はバプテスマを受けた。その日、三千人ほどが仲間に加えられた。
42,彼らはいつも、使徒たちの教えを守り、交わりを持ち、パンを裂き、祈りをしていた。
43,すべての人に恐れが生じ、使徒たちによって多くの不思議としるしが行われていた。
44,信者となった人々はみな一つになって、一切の物を共有し、
45,財産や所有物を売っては、それぞれの必要に応じて、皆に分配していた。
46,そして、毎日心を一つにして宮に集まり、家々でパンを裂き、喜びと真心をもって食事をともにし、
47,神を賛美し、民全体から好意を持たれていた。主は毎日、救われる人々を加えて一つにしてくださった。

2018年5月22日火曜日

使徒2:1-13

使徒の働き
2章
1,五旬節の日になって、皆が同じ場所に集まっていた。
2,すると天から突然、激しい風が吹いて来たような響きが起こり、彼らが座っていた家全体に響き渡った。
3,また、炎のような舌が分かれて現れ、一人ひとりの上にとどまった。
4,すると皆が聖霊に満たされ、御霊が語らせるままに、他国のいろいろなことばで話し始めた。
5,さて、エルサレムには、敬虔なユダヤ人たちが、天下のあらゆる国々から来て住んでいたが、
6,この物音がしたため、大勢の人々が集まって来た。彼らは、それぞれ自分の国のことばで弟子たちが話すのを聞いて、呆気にとられてしまった。
7,彼らは驚き、不思議に思って言った。「見なさい。話しているこの人たちはみな、ガリラヤの人ではないか。
8,それなのに、私たちそれぞれが生まれた国のことばで話を聞くとは、いったいどうしたことか。
9,私たちは、パルティア人、メディア人、エラム人、またメソポタミア、ユダヤ、カパドキア、ポントスとアジア、
10,フリュギアとパンフィリア、エジプト、クレネに近いリビア地方などに住む者、また滞在中のローマ人で、
11,ユダヤ人もいれば改宗者もいる。またクレタ人とアラビア人もいる。それなのに、あの人たちが、私たちのことばで神の大きなみわざを語るのを聞くとは。」
12,人々はみな驚き当惑して、「いったい、これはどうしたことか」と言い合った。
13,だが、「彼らは新しいぶどう酒に酔っているのだ」と言って、嘲る者たちもいた。

2018年5月21日月曜日

使徒1

使徒の働き
1章
1,テオフィロ様。私は前の書で、イエスが行い始め、また教え始められたすべてのことについて書き記しました。
2,それは、お選びになった使徒たちに聖霊によって命じた後、天に上げられた日までのことでした。
3,イエスは苦しみを受けた後、数多くの確かな証拠をもって、ご自分が生きていることを使徒たちに示された。四十日にわたって彼らに現れ、神の国のことを語られた。
4,使徒たちと一緒にいるとき、イエスは彼らにこう命じられた。「エルサレムを離れないで、わたしから聞いた父の約束を待ちなさい。
5,ヨハネは水でバプテスマを授けましたが、あなたがたは間もなく、聖霊によるバプテスマを授けられるからです。」
6,そこで使徒たちは、一緒に集まったとき、イエスに尋ねた。「主よ。イスラエルのために国を再興してくださるのは、この時なのですか。」
7,イエスは彼らに言われた。「いつとか、どんな時とかいうことは、あなたがたの知るところではありません。それは、父がご自分の権威をもって定めておられることです。
8,しかし、聖霊があなたがたの上に臨むとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤとサマリアの全土、さらに地の果てまで、わたしの証人となります。」
9,こう言ってから、イエスは使徒たちが見ている間に上げられた。そして雲がイエスを包み、彼らの目には見えなくなった。
10,イエスが上って行かれるとき、使徒たちは天を見つめていた。すると見よ、白い衣を着た二人の人が、彼らのそばに立っていた。
11,そしてこう言った。「ガリラヤの人たち、どうして天を見上げて立っているのですか。あなたがたを離れて天に上げられたこのイエスは、天に上って行くのをあなたがたが見たのと同じ有様で、またおいでになります。」
12,そこで、使徒たちはオリーブという山からエルサレムに帰った。この山はエルサレムに近く、安息日に歩くことが許される道のりのところにあった。
13,彼らは町に入ると、泊まっている屋上の部屋に上がった。この人たちは、ペテロとヨハネとヤコブとアンデレ、ピリポとトマス、バルトロマイとマタイ、アルパヨの子ヤコブと熱心党員シモンとヤコブの子ユダであった。
14,彼らはみな、女たちとイエスの母マリア、およびイエスの兄弟たちとともに、いつも心を一つにして祈っていた。
15,そのころ、百二十人ほどの人々が一つになって集まっていたが、ペテロがこれらの兄弟たちの中に立って、こう言った。
16,「兄弟たち。イエスを捕らえた者たちを手引きしたユダについては、聖霊がダビデの口を通して前もって語った聖書のことばが、成就しなければなりませんでした。
17,ユダは私たちの仲間として数えられていて、その務めを割り当てられていました。
18,(このユダは、不義の報酬で地所を手に入れたが、真っ逆さまに落ちて、からだが真っ二つに裂け、はらわたがすべて飛び出してしまった。
19,このことは、エルサレムの全住民に知れ渡り、その地所は彼らの国のことばでアケルダマ、すなわち『血の地所』と呼ばれるようになっていた。)
20,詩篇にはこう書いてあります。『彼の宿営が荒れ果て、そこから住む者が絶えますように。』また、『彼の務めは、ほかの人が取るように。』
21,ですから、主イエスが私たちと一緒に生活しておられた間、
22,すなわち、ヨハネのバプテスマから始まって、私たちを離れて天に上げられた日までの間、いつも私たちと行動をともにした人たちの中から、だれか一人が、私たちとともにイエスの復活の証人とならなければなりません。」
23,そこで彼らは、バルサバと呼ばれ、別名をユストというヨセフと、マッティアの二人を立てた。
24,そしてこう祈った。「すべての人の心をご存じである主よ。この二人のうち、あなたがお選びになった一人をお示しください。
25,ユダが自分の場所へ行くために離れてしまった、この奉仕の場、使徒職に就くためです。」
26,そして、二人のためにくじを引くと、くじはマッティアに当たったので、彼が十一人の使徒たちの仲間に加えられた。

2018年5月20日日曜日

ルカ24:36-53

ルカの福音書
24章
36,これらのことを話していると、イエスご自身が彼らの真ん中に立ち、「平安があなたがたにあるように」と言われた。
37,彼らはおびえて震え上がり、幽霊を見ているのだと思った。
38,そこで、イエスは言われた。「なぜ取り乱しているのですか。どうして心に疑いを抱くのですか。
39,わたしの手やわたしの足を見なさい。まさしくわたしです。わたしにさわって、よく見なさい。幽霊なら肉や骨はありません。見て分かるように、わたしにはあります。」
40,こう言って、イエスは彼らに手と足を見せられた。
41,彼らが喜びのあまりまだ信じられず、不思議がっていたので、イエスは、「ここに何か食べ物がありますか」と言われた。
42,そこで、焼いた魚を一切れ差し出すと、
43,イエスはそれを取って、彼らの前で召し上がった。
44,そしてイエスは言われた。「わたしがまだあなたがたと一緒にいたころ、あなたがたに話したことばはこうです。わたしについて、モーセの律法と預言者たちの書と詩篇に書いてあることは、すべて成就しなければなりません。」
45,それからイエスは、聖書を悟らせるために彼らの心を開いて、
46,こう言われた。「次のように書いてあります。『キリストは苦しみを受け、三日目に死人の中からよみがえり、
47,その名によって、罪の赦しを得させる悔い改めが、あらゆる国の人々に宣べ伝えられる。』エルサレムから開始して、
48,あなたがたは、これらのことの証人となります。
49,見よ。わたしは、わたしの父が約束されたものをあなたがたに送ります。あなたがたは、いと高き所から力を着せられるまでは、都にとどまっていなさい。」
50,それからイエスは、弟子たちをベタニアの近くまで連れて行き、手を上げて祝福された。
51,そして、祝福しながら彼らから離れて行き、天に上げられた。
52,彼らはイエスを礼拝した後、大きな喜びとともにエルサレムに帰り、
53,いつも宮にいて神をほめたたえていた。

2018年5月19日土曜日

ルカ24:1-35

ルカの福音書
24章
1,週の初めの日の明け方早く、彼女たちは準備しておいた香料を持って墓に来た。
2,見ると、石が墓からわきに転がされていた。
3,そこで中に入ると、主イエスのからだは見当たらなかった。
4,そのため途方に暮れていると、見よ、まばゆいばかりの衣を着た人が二人、近くに来た。
5,彼女たちは恐ろしくなって、地面に顔を伏せた。すると、その人たちはこう言った。「あなたがたは、どうして生きている方を死人の中に捜すのですか。
6,ここにはおられません。よみがえられたのです。まだガリラヤにおられたころ、主がお話しになったことを思い出しなさい。
7,人の子は必ず罪人たちの手に引き渡され、十字架につけられ、三日目によみがえると言われたでしょう。」
8,彼女たちはイエスのことばを思い出した。
9,そして墓から戻って、十一人とほかの人たち全員に、これらのことをすべて報告した。
10,それは、マグダラのマリア、ヨハンナ、ヤコブの母マリア、そして彼女たちとともにいた、ほかの女たちであった。彼女たちはこれらのことを使徒たちに話したが、
11,この話はたわごとのように思えたので、使徒たちは彼女たちを信じなかった。
12,しかしペテロは立ち上がり、走って墓に行った。そして、かがんでのぞき込むと、亜麻布だけが見えた。それで、この出来事に驚きながら自分のところに帰った。
13,ところで、ちょうどこの日、弟子たちのうちの二人が、エルサレムから六十スタディオン余り離れた、エマオという村に向かっていた。
14,彼らは、これらの出来事すべてについて話し合っていた。
15,話し合ったり論じ合ったりしているところに、イエスご自身が近づいて来て、彼らとともに歩き始められた。
16,しかし、二人の目はさえぎられていて、イエスであることが分からなかった。
17,イエスは彼らに言われた。「歩きながら語り合っているその話は何のことですか。」すると、二人は暗い顔をして立ち止まった。
18,そして、その一人、クレオパという人がイエスに答えた。「エルサレムに滞在していながら、近ごろそこで起こったことを、あなただけがご存じないのですか。」
19,イエスが「どんなことですか」と言われると、二人は答えた。「ナザレ人イエス様のことです。この方は、神と民全体の前で、行いにもことばにも力のある預言者でした。
20,それなのに、私たちの祭司長たちや議員たちは、この方を死刑にするために引き渡して、十字架につけてしまいました。
21,私たちは、この方こそイスラエルを解放する方だ、と望みをかけていました。実際、そればかりではありません。そのことがあってから三日目になりますが、
22,仲間の女たちの何人かが、私たちを驚かせました。彼女たちは朝早く墓に行きましたが、
23,イエス様のからだが見当たらず、戻って来ました。そして、自分たちは御使いたちの幻を見た、彼らはイエス様が生きておられると告げた、と言うのです。
24,それで、仲間の何人かが墓に行ってみたのですが、まさしく彼女たちの言ったとおりで、あの方は見当たりませんでした。」
25,そこでイエスは彼らに言われた。「ああ、愚かな者たち。心が鈍くて、預言者たちの言ったことすべてを信じられない者たち。
26,キリストは必ずそのような苦しみを受け、それから、その栄光に入るはずだったのではありませんか。」
27,それからイエスは、モーセやすべての預言者たちから始めて、ご自分について聖書全体に書いてあることを彼らに説き明かされた。
28,彼らは目的の村の近くに来たが、イエスはもっと先まで行きそうな様子であった。
29,彼らが、「一緒にお泊まりください。そろそろ夕刻になりますし、日もすでに傾いています」と言って強く勧めたので、イエスは彼らとともに泊まるため、中に入られた。
30,そして彼らと食卓に着くと、イエスはパンを取って神をほめたたえ、裂いて彼らに渡された。
31,すると彼らの目が開かれ、イエスだと分かったが、その姿は見えなくなった。
32,二人は話し合った。「道々お話しくださる間、私たちに聖書を説き明かしてくださる間、私たちの心は内で燃えていたではないか。」
33,二人はただちに立ち上がり、エルサレムに戻った。すると、十一人とその仲間が集まって、
34,「本当に主はよみがえって、シモンに姿を現された」と話していた。
35,そこで二人も、道中で起こったことや、パンを裂かれたときにイエスだと分かった次第を話した。

2018年5月18日金曜日

ルカ23:39-56

ルカの福音書
23章
39,十字架にかけられていた犯罪人の一人は、イエスをののしり、「おまえはキリストではないか。自分とおれたちを救え」と言った。
40,すると、もう一人が彼をたしなめて言った。「おまえは神を恐れないのか。おまえも同じ刑罰を受けているではないか。
41,おれたちは、自分のしたことの報いを受けているのだから当たり前だ。だがこの方は、悪いことを何もしていない。」
42,そして言った。「イエス様。あなたが御国に入られるときには、私を思い出してください。」
43,イエスは彼に言われた。「まことに、あなたに言います。あなたは今日、わたしとともにパラダイスにいます。」
44,さて、時はすでに十二時ごろであった。全地が暗くなり、午後三時まで続いた。
45,太陽は光を失っていた。すると神殿の幕が真ん中から裂けた。
46,イエスは大声で叫ばれた。「父よ、わたしの霊をあなたの御手にゆだねます。」こう言って、息を引き取られた。
47,百人隊長はこの出来事を見て、神をほめたたえ、「本当にこの方は正しい人であった」と言った。
48,また、この光景を見に集まっていた群衆もみな、これらの出来事を見て、悲しみのあまり胸をたたきながら帰って行った。
49,しかし、イエスの知人たちや、ガリラヤからイエスについて来ていた女たちはみな、離れたところに立ち、これらのことを見ていた。
50,さて、ここにヨセフという人がいたが、議員の一人で、善良で正しい人であった。
51,ユダヤ人の町アリマタヤの出身で、神の国を待ち望んでいた彼は、議員たちの計画や行動には同意していなかった。
52,この人がピラトのところに行って、イエスのからだの下げ渡しを願い出た。
53,彼はからだを降ろして亜麻布で包み、まだだれも葬られていない、岩に掘った墓に納めた。
54,この日は備え日で、安息日が始まろうとしていた。
55,イエスとともにガリラヤから来ていた女たちは、ヨセフの後について行き、墓と、イエスのからだが納められる様子を見届けた。
56,それから、戻って香料と香油を用意した。そして安息日には、戒めにしたがって休んだ。

2018年5月17日木曜日

ルカ21:27-38

ルカの福音書
23章
27,民衆や、イエスのことを嘆き悲しむ女たちが大きな一群をなして、イエスの後について行った。
28,イエスは彼女たちの方を振り向いて言われた。「エルサレムの娘たち、わたしのために泣いてはいけません。むしろ自分自身と、自分の子どもたちのために泣きなさい。
29,なぜなら人々が、『不妊の女、子を産んだことのない胎、飲ませたことのない乳房は幸いだ』と言う日が来るのですから。
30,そのとき、人々は山々に向かって『私たちの上に崩れ落ちよ』と言い、丘に向かって『私たちをおおえ』と言い始めます。
31,生木にこのようなことが行われるなら、枯れ木には、いったい何が起こるでしょうか。」
32,ほかにも二人の犯罪人が、イエスとともに死刑にされるために引かれて行った。
33,「どくろ」と呼ばれている場所に来ると、そこで彼らはイエスを十字架につけた。また犯罪人たちを、一人は右に、もう一人は左に十字架につけた。
34,そのとき、イエスはこう言われた。「父よ、彼らをお赦しください。彼らは、自分が何をしているのかが分かっていないのです。」彼らはイエスの衣を分けるために、くじを引いた。
35,民衆は立って眺めていた。議員たちもあざ笑って言った。「あれは他人を救った。もし神のキリストで、選ばれた者なら、自分を救ったらよい。」
36,兵士たちも近くに来て、酸いぶどう酒を差し出し、
37,「おまえがユダヤ人の王なら、自分を救ってみろ」と言ってイエスを嘲った。
38,「これはユダヤ人の王」と書いた札も、イエスの頭の上に掲げてあった。

2018年5月16日水曜日

ルカ23:1-26

ルカの福音書
23章
1,集まっていた彼ら全員は立ち上がり、イエスをピラトのもとに連れて行った。
2,そしてイエスを訴え始めて、こう言った。「この者はわが民を惑わし、カエサルに税金を納めることを禁じ、自分は王キリストだと言っていることが分かりました。」
3,そこでピラトはイエスに尋ねた。「あなたはユダヤ人の王なのか。」イエスは答えられた。「あなたがそう言っています。」
4,ピラトは祭司長たちや群衆に、「この人には、訴える理由が何も見つからない」と言った。
5,しかし彼らは、「この者は、ガリラヤから始めてここまで、ユダヤ全土で教えながら民衆を扇動しているのです」と言い張った。
6,それを聞いたピラトは、この人はガリラヤ人かと尋ね、
7,ヘロデの支配下にあると分かると、イエスをヘロデのところに送った。ヘロデもそのころ、エルサレムにいたのである。
8,ヘロデはイエスを見ると、非常に喜んだ。イエスのことを聞いていて、ずっと前から会いたいと思い、またイエスが行うしるしを何か見たいと望んでいたからである。
9,それで、いろいろと質問したが、イエスは何もお答えにならなかった。
10,祭司長たちと律法学者たちはその場にいて、イエスを激しく訴えていた。
11,ヘロデもまた、自分の兵士たちと一緒にイエスを侮辱したり、からかったりしてから、はでな衣を着せてピラトに送り返した。
12,この日、ヘロデとピラトは親しくなった。それまでは互いに敵対していたのである。
13,ピラトは、祭司長たちと議員たち、そして民衆を呼び集め、
14,こう言った。「おまえたちはこの人を、民衆を惑わす者として私のところに連れて来た。私がおまえたちの前で取り調べたところ、おまえたちが訴えているような罪は何も見つからなかった。
15,ヘロデも同様だった。私たちにこの人を送り返して来たのだから。見なさい。この人は死に値することを何もしていない。
16,だから私は、むちで懲らしめたうえで釈放する。」
18,しかし彼らは一斉に叫んだ。「その男を殺せ。バラバを釈放しろ。」
19,バラバは、都に起こった暴動と人殺しのかどで、牢に入れられていた者であった。
20,ピラトはイエスを釈放しようと思って、再び彼らに呼びかけた。
21,しかし彼らは、「十字架だ。十字架につけろ」と叫び続けた。
22,ピラトは彼らに三度目に言った。「この人がどんな悪いことをしたというのか。彼には、死に値する罪が何も見つからなかった。だから私は、むちで懲らしめたうえで釈放する。」
23,けれども、彼らはイエスを十字架につけるように、しつこく大声で要求し続けた。そして、その声がいよいよ強くなっていった。
24,それでピラトは、彼らの要求どおりにすることに決めた。
25,すなわち、暴動と人殺しのかどで牢に入れられていた男を願いどおりに釈放し、他方イエスを彼らに引き渡して好きなようにさせた。
26,彼らはイエスを引いて行く途中、田舎から出て来たシモンというクレネ人を捕まえ、この人に十字架を負わせてイエスの後から運ばせた。

2018年5月15日火曜日

ルカ22:54-71

ルカの福音書
22章
54,彼らはイエスを捕らえ、引いて行き、大祭司の家に連れて入った。ペテロは遠く離れてついて行った。
55,人々が中庭の真ん中に火をたいて、座り込んでいたので、ペテロも中に交じって腰を下ろした。
56,すると、ある召使いの女が、明かりの近くに座っているペテロを目にし、じっと見つめて言った。「この人も、イエスと一緒にいました。」
57,しかし、ペテロはそれを否定して、「いや、私はその人を知らない」と言った。
58,しばらくして、ほかの男が彼を見て言った。「あなたも彼らの仲間だ。」しかし、ペテロは「いや、違う」と言った。
59,それから一時間ほどたつと、また別の男が強く主張した。「確かにこの人も彼と一緒だった。ガリラヤ人だから。」
60,しかしペテロは、「あなたの言っていることは分からない」と言った。するとすぐ、彼がまだ話しているうちに、鶏が鳴いた。
61,主は振り向いてペテロを見つめられた。ペテロは、「今日、鶏が鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言います」と言われた主のことばを思い出した。
62,そして、外に出て行って、激しく泣いた。
63,さて、イエスを監視していた者たちは、イエスをからかい、むちでたたいた。
64,そして目隠しをして、「当ててみろ、おまえを打ったのはだれだ」と聞いた。
65,また、ほかにも多くの冒瀆のことばをイエスに浴びせた。
66,夜が明けると、民の長老会、祭司長たちや律法学者たちが集まり、イエスを彼らの最高法院に連れ出して、こう言った。
67,「おまえがキリストなら、そうだと言え。」しかしイエスは言われた。「わたしが言っても、あなたがたは決して信じないでしょう。
68,わたしが尋ねても、あなたがたは決して答えないでしょう。
69,だが今から後、人の子は力ある神の右の座に着きます。」
70,彼らはみな言った。「では、おまえは神の子なのか。」イエスは彼らに答えられた。「あなたがたの言うとおり、わたしはそれです。」
71,そこで彼らは「どうして、これ以上証言が必要だろうか。私たち自身が彼の口から聞いたのだ」と言った。

2018年5月14日月曜日

ルカ22:31-53

ルカの福音書
22章
31,シモン、シモン。見なさい。サタンがあなたがたを麦のようにふるいにかけることを願って、聞き届けられました。
32,しかし、わたしはあなたのために、あなたの信仰がなくならないように祈りました。ですから、あなたは立ち直ったら、兄弟たちを力づけてやりなさい。」
33,シモンはイエスに言った。「主よ。あなたとご一緒なら、牢であろうと、死であろうと、覚悟はできております。」
34,しかし、イエスは言われた。「ペテロ、あなたに言っておきます。今日、鶏が鳴くまでに、あなたは三度わたしを知らないと言います。」
35,それから、イエスは弟子たちに言われた。「わたしがあなたがたを、財布も袋も履き物も持たせずに遣わしたとき、何か足りない物がありましたか。」彼らは、「いいえ、何もありませんでした」と答えた。
36,すると言われた。「しかし今は、財布のある者は財布を持ち、同じように袋も持ちなさい。剣のない者は上着を売って剣を買いなさい。
37,あなたがたに言いますが、『彼は不法な者たちとともに数えられた』と書かれていること、それがわたしに必ず実現します。わたしに関わることは実現するのです。」
38,彼らが、「主よ、ご覧ください。ここに剣が二本あります」と言うと、イエスは、「それで十分」と答えられた。
39,それからイエスは出て行き、いつものようにオリーブ山に行かれた。弟子たちもイエスに従った。
40,いつもの場所に来ると、イエスは彼らに、「誘惑に陥らないように祈っていなさい」と言われた。
41,そして、ご自分は弟子たちから離れて、石を投げて届くほどのところに行き、ひざまずいて祈られた。
42,「父よ、みこころなら、この杯をわたしから取り去ってください。しかし、わたしの願いではなく、みこころがなりますように。」
43,〔すると、御使いが天から現れて、イエスを力づけた。
44,イエスは苦しみもだえて、いよいよ切に祈られた。汗が血のしずくのように地に落ちた。〕
45,イエスが祈り終わって立ち上がり、弟子たちのところに行ってご覧になると、彼らは悲しみの果てに眠り込んでいた。
46,そこで、彼らに言われた。「どうして眠っているのか。誘惑に陥らないように、起きて祈っていなさい。」
47,イエスがまだ話をしておられるうちに、見よ、群衆がやって来た。十二人の一人で、ユダという者が先頭に立っていた。ユダはイエスに口づけしようとして近づいた。
48,しかし、イエスは彼に言われた。「ユダ、あなたは口づけで人の子を裏切るのか。」
49,イエスの周りにいた者たちは、事の成り行きを見て、「主よ、剣で切りつけましょうか」と言った。
50,そして、そのうちの一人が大祭司のしもべに切りかかり、右の耳を切り落とした。
51,するとイエスは、「やめなさい。そこまでにしなさい」と言われた。そして、耳にさわって彼を癒やされた。
52,それからイエスは、押しかけて来た祭司長たち、宮の守衛長たち、長老たちに言われた。「まるで強盗にでも向かうように、剣や棒を持って出て来たのですか。
53,わたしが毎日、宮で一緒にいる間、あなたがたはわたしに手をかけませんでした。しかし、今はあなたがたの時、暗闇の力です。」

2018年5月13日日曜日

ルカ22:1-30

ルカの福音書
22章
1,さて、過越の祭りと言われる、種なしパンの祭りが近づいていた。
2,祭司長、律法学者たちは、イエスを殺すための良い方法を探していた。彼らは民を恐れていたのである。
3,ところで、十二人の一人で、イスカリオテと呼ばれるユダに、サタンが入った。
4,ユダは行って、祭司長たちや宮の守衛長たちと、どのようにしてイエスを彼らに引き渡すか相談した。
5,彼らは喜んで、ユダに金を与える約束をした。
6,ユダは承知し、群衆がいないときにイエスを彼らに引き渡そうと機会を狙っていた。
7,過越の子羊が屠られる、種なしパンの祭りの日が来た。
8,イエスは、「過越の食事ができるように、行って用意をしなさい」と言って、ペテロとヨハネを遣わされた。
9,彼らがイエスに、「どこに用意しましょうか」と言うと、
10,イエスは言われた。「いいですか。都に入ると、水がめを運んでいる人に会います。その人が入る家までついて行きなさい。
11,そして、その家の主人に、『弟子たちと一緒に過越の食事をする客間はどこか、と先生があなたに言っております』と言いなさい。
12,すると主人は、席が整っている二階の大広間を見せてくれます。そこに用意をしなさい。」
13,彼らが行ってみると、イエスが言われたとおりであった。それで、彼らは過越の用意をした。
14,その時刻が来て、イエスは席に着かれ、使徒たちも一緒に座った。
15,イエスは彼らに言われた。「わたしは、苦しみを受ける前に、あなたがたと一緒にこの過越の食事をすることを、切に願っていました。
16,あなたがたに言います。過越が神の国において成就するまで、わたしが過越の食事をすることは、決してありません。」
17,そしてイエスは杯を取り、感謝の祈りをささげてから言われた。「これを取り、互いの間で分けて飲みなさい。
18,あなたがたに言います。今から神の国が来る時まで、わたしがぶどうの実からできた物を飲むことは、決してありません。」
19,それからパンを取り、感謝の祈りをささげた後これを裂き、弟子たちに与えて言われた。「これは、あなたがたのために与えられる、わたしのからだです。わたしを覚えて、これを行いなさい。」
20,食事の後、杯も同じようにして言われた。「この杯は、あなたがたのために流される、わたしの血による、新しい契約です。
21,しかし見なさい。わたしを裏切る者の手が、わたしとともに食卓の上にあります。
22,人の子は、定められたとおり去って行きます。しかし、人の子を裏切るその人はわざわいです。」
23,そこで弟子たちは、自分たちのうちのだれが、そんなことをしようとしているのかと、互いに議論をし始めた。
24,また、彼らの間で、自分たちのうちでだれが一番偉いのだろうか、という議論も起こった。
25,すると、イエスは彼らに言われた。「異邦人の王たちは人々を支配し、また人々に対し権威を持つ者は守護者と呼ばれています。
26,しかし、あなたがたは、そうであってはいけません。あなたがたの間で一番偉い人は、一番若い者のようになりなさい。上に立つ人は、給仕する者のようになりなさい。
27,食卓に着く人と給仕する者と、どちらが偉いでしょうか。食卓に着く人ではありませんか。しかし、わたしはあなたがたの間で、給仕する者のようにしています。
28,あなたがたは、わたしの様々な試練の時に、一緒に踏みとどまってくれた人たちです。
29,わたしの父がわたしに王権を委ねてくださったように、わたしもあなたがたに王権を委ねます。
30,そうしてあなたがたは、わたしの国でわたしの食卓に着いて食べたり飲んだりし、王座に着いて、イスラエルの十二の部族を治めるのです。

2018年5月12日土曜日

ルカ21:2-38

ルカの福音書
21章
20,しかし、エルサレムが軍隊に囲まれるのを見たら、そのときには、その滅亡が近づいたことを悟りなさい。
21,そのとき、ユダヤにいる人たちは山へ逃げなさい。都の中にいる人たちはそこから出て行きなさい。田舎にいる人たちは都に入ってはいけません。
22,書かれていることがすべて成就する、報復の日々だからです。
23,それらの日、身重の女たちと乳飲み子を持つ女たちは哀れです。この地に大きな苦難があり、この民に御怒りが臨むからです。
24,人々は剣の刃に倒れ、捕虜となって、あらゆる国の人々のところに連れて行かれ、異邦人の時が満ちるまで、エルサレムは異邦人に踏み荒らされます。
25,それから、太陽と月と星にしるしが現れ、地上では海と波が荒れどよめいて、諸国の民が不安に陥って苦悩します。
26,人々は、この世界に起ころうとしていることを予測して、恐ろしさのあまり気を失います。天のもろもろの力が揺り動かされるからです。
27,そのとき人々は、人の子が雲のうちに、偉大な力と栄光とともに来るのを見るのです。
28,これらのことが起こり始めたら、身を起こし、頭を上げなさい。あなたがたの贖いが近づいているからです。」
29,それからイエスは、人々にたとえを話された。「いちじくの木や、すべての木を見なさい。
30,木の芽が出ると、それを見て、すでに夏が近いことが、おのずから分かります。
31,同じように、これらのことが起こるのを見たら、あなたがたは神の国が近いことを知りなさい。
32,まことに、あなたがたに言います。すべてのことが起こるまで、この時代が過ぎ去ることは決してありません。
33,天地は消え去ります。しかし、わたしのことばは決して消え去ることがありません。
34,あなたがたの心が、放蕩や深酒や生活の思い煩いで押しつぶされていて、その日が罠のように、突然あなたがたに臨むことにならないように、よく気をつけなさい。
35,その日は、全地の表に住むすべての人に突然臨むのです。
36,しかし、あなたがたは、必ず起こるこれらすべてのことから逃れて、人の子の前に立つことができるように、いつも目を覚まして祈っていなさい。」
37,こうしてイエスは、昼は宮で教え、夜は外に出てオリーブという山で過ごされた。
38,人々はみな朝早く、教えを聞こうとして、宮におられるイエスのもとにやって来た。

2018年5月11日金曜日

ルカ21:1-19

ルカの福音書
21章
1,イエスは目を上げて、金持ちたちが献金箱に献金を投げ入れているのを見ておられた。
2,そして、ある貧しいやもめが、そこにレプタ銅貨を二枚投げ入れるのを見て、
3,こう言われた。「まことに、あなたがたに言います。この貧しいやもめは、だれよりも多くを投げ入れました。
4,あの人たちはみな、あり余る中から献金として投げ入れたのに、この人は乏しい中から、持っていた生きる手立てのすべてを投げ入れたのですから。」
5,さて、宮が美しい石や奉納物で飾られている、と何人かが話していたので、イエスは言われた。
6,「あなたがたが見ているこれらの物ですが、どの石も崩されずに、ほかの石の上に残ることのない日が、やって来ます。」
7,そこで彼らはイエスに尋ねた。「先生、それでは、いつ、そのようなことが起こるのですか。それが起こるときのしるしは、どのようなものですか。」
8,イエスは言われた。「惑わされないように気をつけなさい。わたしの名を名乗る者が大勢現れて、『私こそ、その者だ』とか『時は近づいた』とか言います。そんな人たちの後について行ってはいけません。
9,戦争や暴動のことを聞いても、恐れてはいけません。まず、それらのことが必ず起こりますが、終わりはすぐには来ないからです。」
10,それから、イエスは彼らに言われた。「民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、
11,大きな地震があり、方々に飢饉や疫病が起こり、恐ろしい光景や天からの大きなしるしが現れます。
12,しかし、これらのことすべてが起こる前に、人々はあなたがたに手をかけて迫害し、会堂や牢に引き渡し、わたしの名のために、あなたがたを王たちや総督たちの前に引き出します。
13,それは、あなたがたにとって証しをする機会となります。
14,ですから、どう弁明するかは、あらかじめ考えない、と心に決めておきなさい。
15,あなたがたに反対するどんな人も、対抗したり反論したりできないことばと知恵を、わたしが与えるからです。
16,あなたがたは、両親、兄弟、親族、友人たちにも裏切られます。中には殺される人もいます。
17,また、わたしの名のために、すべての人に憎まれます。
18,しかし、あなたがたの髪の毛一本も失われることはありません。
19,あなたがたは、忍耐することによって自分のいのちを勝ち取りなさい。

2018年5月10日木曜日

ルカ20:27-47

ルカの福音書
20章
27,復活があることを否定しているサドカイ人たちが何人か、イエスのところに来て質問した。
28,「先生、モーセは私たちのためにこう書いています。『もし、ある人の兄が妻を迎えて死に、子がいなかった場合、その弟が兄嫁を妻にして、兄のために子孫を起こさなければならない。』
29,ところで、七人の兄弟がいました。長男が妻を迎え、子がないままで死にました。
30,次男も、
31,三男もその兄嫁を妻とし、七人とも同じように、子を残さずに死にました。
32,最後に、その妻も死にました。
33,では復活の際、彼女は彼らのうちのだれの妻になるのでしょうか。七人とも彼女を妻にしたのですが。」
34,イエスは彼らに言われた。「この世の子らは、めとったり嫁いだりするが、
35,次の世に入るのにふさわしく、死んだ者の中から復活するのにふさわしいと認められた人たちは、めとることも嫁ぐこともありません。
36,彼らが死ぬことは、もうあり得ないからです。彼らは御使いのようであり、復活の子として神の子なのです。
37,モーセも柴の箇所で、主を『アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神』と呼んで、死んだ者がよみがえることを明らかにしました。
38,神は死んだ者の神ではなく、生きている者の神です。神にとっては、すべての者が生きているのです。」
39,律法学者たちの何人かが、「先生、立派なお答えです」と答えた。
40,彼らはそれ以上、何もあえて質問しようとはしなかった。
41,すると、イエスが彼らに言われた。「どうして人々は、キリストをダビデの子だと言うのですか。
42,ダビデ自身が詩篇の中で、こう言っています。『主は、私の主に言われた。「あなたは、わたしの右の座に着いていなさい。
43,わたしがあなたの敵をあなたの足台とするまで。」』
44,ですから、ダビデがキリストを主と呼んでいるのです。それなら、どうしてキリストがダビデの子なのでしょう。」
45,また、人々がみな耳を傾けているときに、イエスは弟子たちに言われた。
46,「律法学者たちには用心しなさい。彼らは長い衣を着て歩き回ることが好きで、広場であいさつされることや会堂の上席、宴会の上座を好みます。
47,また、やもめの家を食い尽くし、見栄を張って長く祈ります。こういう人たちは、より厳しい罰を受けるのです。」

2018年5月9日水曜日

ルカ20:1-26

ルカの福音書
20章
1,ある日、イエスが宮で人々を教え、福音を宣べ伝えておられると、祭司長たちと律法学者たちが長老たちと一緒にやって来て、
2,イエスに言った。「何の権威によって、これらのことをしているのか、あなたにその権威を授けたのはだれなのか、教えてくれませんか。」
3,イエスは彼らに答えられた。「わたしも一言尋ねましょう。それに答えなさい。
4,ヨハネのバプテスマは、天から来たのですか、それとも人から出たのですか。」
5,すると、彼らは論じ合った。「もし天からと言えば、どうしてヨハネを信じなかったのかと言うだろう。
6,だが、もし人からと言えば、民はみな私たちを石で打ち殺すだろう。ヨハネは預言者だと確信しているのだから。」
7,そこで、「どこから来たのか知りません」と答えた。
8,するとイエスは彼らに言われた。「わたしも、何の権威によってこれらのことをするのか、あなたがたに言いません。」
9,また、イエスは人々に対してこのようなたとえを話し始められた。「ある人がぶどう園を造り、それを農夫たちに貸して、長い旅に出た。
10,収穫の時になったので、彼は農夫たちのところに一人のしもべを遣わした。ぶどう園の収穫の一部を納めさせるためであった。ところが農夫たちは、そのしもべを打ちたたき、何も持たせないで帰らせた。
11,そこで別のしもべを遣わしたが、彼らはそのしもべも打ちたたき、辱めたうえで、何も持たせないで帰らせた。
12,彼はさらに三人目のしもべを遣わしたが、彼らはこのしもべにも傷を負わせて追い出した。
13,ぶどう園の主人は言った。『どうしようか。そうだ、私の愛する息子を送ろう。この子なら、きっと敬ってくれるだろう。』
14,ところが、農夫たちはその息子を見ると、互いに議論して『あれは跡取りだ。あれを殺してしまおう。そうすれば、相続財産は自分たちのものになる』と言った。
15,そして、彼をぶどう園の外に放り出して、殺してしまった。こうなったら、ぶどう園の主人は彼らをどうするでしょうか。
16,主人はやって来て農夫たちを殺し、ぶどう園をほかの人たちに与えるでしょう。」これを聞いた人たちは、「そんなことが起こってはなりません」と言った。
17,イエスは彼らを見つめて言われた。「では、『家を建てる者たちが捨てた石、それが要の石となった』と書いてあるのは、どういうことなのですか。
18,だれでもこの石の上に落ちれば、粉々に砕かれ、またこの石が人の上に落ちれば、その人を押しつぶします。」
19,律法学者たちと祭司長たちは、このたとえ話が自分たちを指して語られたことに気づいた。それでそのとき、イエスに手をかけて捕らえようとしたが、民を恐れた。
20,さて、機会を狙っていた彼らは、義人を装った回し者を遣わした。イエスのことばじりをとらえて、総督の支配と権威に引き渡すためであった。
21,彼らはイエスにこう質問した。「先生。私たちは、あなたがお話しになること、お教えになることが正しく、またあなたが人を分け隔てせず、真理に基づいて神の道を教えておられることを知っています。
22,ところで、私たちがカエサルに税金を納めることは、律法にかなっているでしょうか、いないでしょうか。」
23,イエスは彼らの悪巧みを見抜いて言われた。
24,「デナリ銀貨をわたしに見せなさい。だれの肖像と銘がありますか。」彼らは、「カエサルのです」と言った。
25,すると、イエスは彼らに言われた。「では、カエサルのものはカエサルに、神のものは神に返しなさい。」
26,彼らは、民の前でイエスのことばじりをとらえることができず、答えに驚嘆して黙ってしまった。

2018年5月8日火曜日

ルカ19:29-48

ルカの福音書
19章
29,オリーブという山のふもとのベテパゲとベタニアに近づいたとき、イエスはこう言って、二人の弟子を遣わされた。
30,「向こうの村へ行きなさい。そこに入ると、まだだれも乗ったことのない子ろばが、つながれているのに気がつくでしょう。それをほどいて、連れて来なさい。
31,もし『どうして、ほどくのか』とだれかが尋ねたら、『主がお入り用なのです』と言いなさい。」
32,使いに出された二人が行って見ると、イエスが言われたとおりであった。
33,彼らが子ろばをほどいていると、持ち主たちが、「どうして、子ろばをほどくのか」と彼らに言った。
34,弟子たちは、「主がお入り用なのです」と言った。
35,二人はその子ろばをイエスのもとに連れて来た。そして、その上に自分たちの上着を掛けて、イエスをお乗せした。
36,イエスが進んで行かれると、人々は道に自分たちの上着を敷いた。
37,イエスがいよいよオリーブ山の下りにさしかかると、大勢の弟子たちはみな、自分たちが見たすべての力あるわざについて、喜びのあまりに大声で神を賛美し始めて、
38,こう言った。「祝福あれ、主の御名によって来られる方、王に。天には平和があるように。栄光がいと高き所にあるように。」
39,するとパリサイ人のうちの何人かが、群衆の中からイエスに向かって、「先生、あなたの弟子たちを叱ってください」と言った。
40,イエスは答えられた。「わたしは、あなたがたに言います。もしこの人たちが黙れば、石が叫びます。」
41,エルサレムに近づいて、都をご覧になったイエスは、この都のために泣いて、言われた。
42,「もし、平和に向かう道を、この日おまえも知っていたら──。しかし今、それはおまえの目から隠されている。
43,やがて次のような時代がおまえに来る。敵はおまえに対して塁を築き、包囲し、四方から攻め寄せ、
44,そしておまえと、中にいるおまえの子どもたちを地にたたきつける。彼らはおまえの中で、一つの石も、ほかの石の上に積まれたまま残してはおかない。それは、神の訪れの時を、おまえが知らなかったからだ。」
45,それからイエスは宮に入って、商売人たちを追い出し始め、
46,彼らに言われた。「『わたしの家は祈りの家でなければならない』と書いてある。それなのに、おまえたちはそれを『強盗の巣』にした。」
47,イエスは毎日、宮で教えておられた。祭司長たち、律法学者たち、そして民のおもだった者たちは、イエスを殺そうと狙っていたが、
48,何をしたらよいのか分からなかった。人々がみな、イエスのことばに熱心に耳を傾けていたからである。

2018年5月7日月曜日

ルカ19:1-28

ルカの福音書
19章
1,それからイエスはエリコに入り、町の中を通っておられた。
2,するとそこに、ザアカイという名の人がいた。彼は取税人のかしらで、金持ちであった。
3,彼はイエスがどんな方かを見ようとしたが、背が低かったので、群衆のために見ることができなかった。
4,それで、先の方に走って行き、イエスを見ようとして、いちじく桑の木に登った。イエスがそこを通り過ぎようとしておられたからであった。
5,イエスはその場所に来ると、上を見上げて彼に言われた。「ザアカイ、急いで降りて来なさい。わたしは今日、あなたの家に泊まることにしているから。」
6,ザアカイは急いで降りて来て、喜んでイエスを迎えた。
7,人々はみな、これを見て、「あの人は罪人のところに行って客となった」と文句を言った。
8,しかし、ザアカイは立ち上がり、主に言った。「主よ、ご覧ください。私は財産の半分を貧しい人たちに施します。だれかから脅し取った物があれば、四倍にして返します。」
9,イエスは彼に言われた。「今日、救いがこの家に来ました。この人もアブラハムの子なのですから。
10,人の子は、失われた者を捜して救うために来たのです。」
11,人々がこれらのことばに耳を傾けていたとき、イエスは続けて一つのたとえを話された。イエスがエルサレムの近くに来ていて、人々が神の国がすぐに現れると思っていたからである。
12,イエスはこう言われた。「ある身分の高い人が遠い国に行った。王位を授かって戻って来るためであった。
13,彼はしもべを十人呼んで、彼らに十ミナを与え、『私が帰って来るまで、これで商売をしなさい』と言った。
14,一方、その国の人々は彼を憎んでいたので、彼の後に使者を送り、『この人が私たちの王になるのを、私たちは望んでいません』と伝えた。
15,さて、彼は王位を授かって帰って来ると、金を与えておいたしもべたちを呼び出すように命じた。彼らがどんな商売をしたかを知ろうと思ったのである。
16,最初のしもべが進み出て言った。『ご主人様、あなた様の一ミナで十ミナをもうけました。』
17,主人は彼に言った。『よくやった。良いしもべだ。おまえはほんの小さなことにも忠実だったから、十の町を支配する者になりなさい。』
18,二番目のしもべが来て言った。『ご主人様、あなた様の一ミナで五ミナをもうけました。』
19,主人は彼にも言った。『おまえも五つの町を治めなさい。』
20,また別のしもべが来て言った。『ご主人様、ご覧ください。あなた様の一ミナがございます。私は布に包んで、しまっておきました。
21,あなた様は預けなかったものを取り立て、蒔かなかったものを刈り取られる厳しい方ですから、怖かったのです。』
22,主人はそのしもべに言った。『悪いしもべだ。私はおまえのことばによって、おまえをさばこう。おまえは、私が厳しい人間で、預けなかったものを取り立て、蒔かなかったものを刈り取ると、分かっていたというのか。
23,それなら、どうして私の金を銀行に預けておかなかったのか。そうしておけば、私が帰って来たとき、それを利息と一緒に受け取れたのに。』
24,そして、そばに立っていた者たちに言った。『その一ミナをこの者から取り上げて、十ミナ持っている者に与えなさい。』
25,すると彼らは、『ご主人様、あの人はすでに十ミナ持っています』と言った。
26,彼は言った。『おまえたちに言うが、だれでも持っている者はさらに与えられ、持っていない者からは、持っている物までも取り上げられるのだ。
27,またさらに、私が王になるのを望まなかったあの敵どもは、ここに連れて来て、私の目の前で打ち殺せ。』」
28,これらのことを話してから、イエスはさらに進んで、エルサレムへと上って行かれた。

2018年5月6日日曜日

ルカ18:18-43

ルカの福音書
18章
18,また、ある指導者がイエスに質問した。「良い先生。何をしたら、私は永遠のいのちを受け継ぐことができるでしょうか。」
19,イエスは彼に言われた。「なぜ、わたしを『良い』と言うのですか。良い方は神おひとりのほか、だれもいません。
20,戒めはあなたも知っているはずです。『姦淫してはならない。殺してはならない。盗んではならない。偽りの証言をしてはならない。あなたの父と母を敬え。』」
21,するとその人は言った。「私は少年のころから、それらすべてを守ってきました。」
22,イエスはこれを聞いて、彼に言われた。「まだ一つ、あなたに欠けていることがあります。あなたが持っている物をすべて売り払い、貧しい人たちに分けてやりなさい。そうすれば、あなたは天に宝を持つことになります。そのうえで、わたしに従って来なさい。」
23,彼はこれを聞いて、非常に悲しんだ。大変な金持ちだったからである。
24,イエスは彼が非常に悲しんだのを見て、こう言われた。「富を持つ者が神の国に入るのは、なんと難しいことでしょう。
25,金持ちが神の国に入るよりは、らくだが針の穴を通るほうが易しいのです。」
26,それを聞いた人々は言った。「それでは、だれが救われることができるでしょう。」
27,イエスは言われた。「人にはできないことが、神にはできるのです。」
28,すると、ペテロが言った。「ご覧ください。私たちは自分のものを捨てて、あなたに従って来ました。」
29,イエスは彼らに言われた。「まことに、あなたがたに言います。だれでも、神の国のために、家、妻、兄弟、両親、子どもを捨てた者は、
30,必ずこの世で、その何倍も受け、来たるべき世で、永遠のいのちを受けます。」
31,さて、イエスは十二人をそばに呼んで、彼らに話された。「ご覧なさい。わたしたちはエルサレムに上って行きます。人の子について、預言者たちを通して書き記されているすべてのことが実現するのです。
32,人の子は異邦人に引き渡され、彼らに嘲られ、辱められ、唾をかけられます。
33,彼らは人の子をむちで打ってから殺します。しかし、人の子は三日目によみがえります。」
34,弟子たちには、これらのことが何一つ分からなかった。彼らにはこのことばが隠されていて、話されたことが理解できなかった。
35,イエスがエリコに近づいたとき、一人の目の見えない人が道端に座り、物乞いをしていた。
36,彼は群衆が通って行くのを耳にして、これはいったい何事かと尋ねた。
37,ナザレ人イエスがお通りになるのだと人々が知らせると、
38,彼は大声で、「ダビデの子のイエス様、私をあわれんでください」と言った。
39,先を行く人たちが、黙らせようとしてたしなめたが、その人はますます激しく「ダビデの子よ、私をあわれんでください」と叫んだ。
40,イエスは立ち止まって、彼を連れて来るように命じられた。彼が近くに来ると、イエスはお尋ねになった。
41,「わたしに何をしてほしいのですか。」するとその人は答えた。「主よ、目が見えるようにしてください。」
42,イエスは彼に言われた。「見えるようになれ。あなたの信仰があなたを救いました。」
43,その人はただちに見えるようになり、神をあがめながらイエスについて行った。これを見て、民はみな神を賛美した。

2018年5月5日土曜日

ルカ18:1-17

ルカの福音書
18章
1,いつでも祈るべきで、失望してはいけないことを教えるために、イエスは弟子たちにたとえを話された。
2,「ある町に、神を恐れず、人を人とも思わない裁判官がいた。
3,その町に一人のやもめがいたが、彼のところにやって来ては、『私を訴える人をさばいて、私を守ってください』と言っていた。
4,この裁判官はしばらく取り合わなかったが、後になって心の中で考えた。『私は神をも恐れず、人を人とも思わないが、
5,このやもめは、うるさくて仕方がないから、彼女のために裁判をしてやることにしよう。そうでないと、ひっきりなしにやって来て、私は疲れ果ててしまう。』」
6,主は言われた。「不正な裁判官が言っていることを聞きなさい。
7,まして神は、昼も夜も神に叫び求めている、選ばれた者たちのためにさばきを行わないで、いつまでも放っておかれることがあるでしょうか。
8,あなたがたに言いますが、神は彼らのため、速やかにさばきを行ってくださいます。だが、人の子が来るとき、はたして地上に信仰が見られるでしょうか。」
9,自分は正しいと確信していて、ほかの人々を見下している人たちに、イエスはこのようなたとえを話された。
10,「二人の人が祈るために宮に上って行った。一人はパリサイ人で、もう一人は取税人であった。
11,パリサイ人は立って、心の中でこんな祈りをした。『神よ。私がほかの人たちのように、奪い取る者、不正な者、姦淫する者でないこと、あるいは、この取税人のようでないことを感謝します。
12,私は週に二度断食し、自分が得ているすべてのものから、十分の一を献げております。』
13,一方、取税人は遠く離れて立ち、目を天に向けようともせず、自分の胸をたたいて言った。『神様、罪人の私をあわれんでください。』
14,あなたがたに言いますが、義と認められて家に帰ったのは、あのパリサイ人ではなく、この人です。だれでも自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされるのです。」
15,さて、イエスに触れていただこうと、人々は幼子たちまで連れて来た。ところが、弟子たちはそれを見て叱った。
16,しかし、イエスは幼子たちを呼び寄せて、こう言われた。「子どもたちを、わたしのところに来させなさい。邪魔してはいけません。神の国はこのような者たちのものなのです。
17,まことに、あなたがたに言います。子どものように神の国を受け入れる者でなければ、決してそこに入ることはできません。」

2018年5月4日金曜日

ルカ17:20-37

ルカの福音書
17章
20,パリサイ人たちが、神の国はいつ来るのかと尋ねたとき、イエスは彼らに答えられた。「神の国は、目に見える形で来るものではありません。
21,『見よ、ここだ』とか、『あそこだ』とか言えるようなものではありません。見なさい。神の国はあなたがたのただ中にあるのです。」
22,イエスは弟子たちに言われた。「あなたがたが、人の子の日を一日でも見たいと願っても、見られない日が来ます。
23,人々は『見よ、あそこだ』とか、『見よ、ここだ』とか言いますが、行ってはいけません。追いかけてもいけません。
24,人の子の日、人の子は、稲妻がひらめいて天の端から天の端まで光るのと、ちょうど同じようになります。
25,しかし、まず人の子は多くの苦しみを受け、この時代の人々に捨てられなければなりません。
26,ちょうど、ノアの日に起こったのと同じことが、人の子の日にも起こります。
27,ノアが箱舟に入るその日まで、人々は食べたり飲んだり、めとったり嫁いだりしていましたが、洪水が来て、すべての人を滅ぼしてしまいました。
28,また、ロトの日に起こったことと同じようになります。人々は食べたり飲んだり、売ったり買ったり、植えたり建てたりしていましたが、
29,ロトがソドムから出て行ったその日に、火と硫黄が天から降って来て、すべての人を滅ぼしてしまいました。
30,人の子が現れる日にも、同じことが起こります。
31,その日、屋上にいる人は、家に家財があっても、それを持ち出すために下に降りてはいけません。同じように、畑にいる人も戻ってはいけません。
32,ロトの妻のことを思い出しなさい。
33,自分のいのちを救おうと努める者はそれを失い、それを失う者はいのちを保ちます。
34,あなたがたに言いますが、その夜、同じ寝床で人が二人寝ていると、一人は取られ、もう一人は残されます。
35,同じところで臼をひいている女が二人いると、一人は取られ、もう一人は残されます。」
37,弟子たちが、「主よ、それはどこで起こるのですか」と言うと、イエスは彼らに言われた。「死体のあるところ、そこには禿鷹が集まります。」

2018年5月3日木曜日

ルカ17:1-19

ルカの福音書
17章
1,イエスは弟子たちに言われた。「つまずきが起こるのは避けられませんが、つまずきをもたらす者はわざわいです。
2,その者にとっては、これらの小さい者たちの一人をつまずかせるより、ひき臼を首に結び付けられて、海に投げ込まれるほうがましです。
3,あなたがたは、自分自身に気をつけなさい。兄弟が罪を犯したなら、戒めなさい。そして悔い改めるなら、赦しなさい。
4,一日に七回あなたに対して罪を犯しても、七回あなたのところに来て『悔い改めます』と言うなら、赦しなさい。」
5,使徒たちは主に言った。「私たちの信仰を増し加えてください。」
6,すると主は言われた。「もしあなたがたに、からし種ほどの信仰があれば、この桑の木に『根元から抜かれて、海の中に植われ』と言うなら、あなたがたに従います。
7,あなたがたのだれかのところに、畑を耕すか羊を飼うしもべがいて、そのしもべが野から帰って来たら、『さあ、こちらに来て、食事をしなさい』と言うでしょうか。
8,むしろ、『私の夕食の用意をし、私が食べたり飲んだりする間、帯を締めて給仕しなさい。おまえはその後で食べたり飲んだりしなさい』と言うのではないでしょうか。
9,しもべが命じられたことをしたからといって、主人はそのしもべに感謝するでしょうか。
10,同じようにあなたがたも、自分に命じられたことをすべて行ったら、『私たちは取るに足りないしもべです。なすべきことをしただけです』と言いなさい。」
11,さて、イエスはエルサレムに向かう途中、サマリアとガリラヤの境を通られた。
12,ある村に入ると、ツァラアトに冒された十人の人がイエスを出迎えた。彼らは遠く離れたところに立ち、
13,声を張り上げて、「イエス様、先生、私たちをあわれんでください」と言った。
14,イエスはこれを見て彼らに言われた。「行って、自分のからだを祭司に見せなさい。」すると彼らは行く途中できよめられた。
15,そのうちの一人は、自分が癒やされたことが分かると、大声で神をほめたたえながら引き返して来て、
16,イエスの足もとにひれ伏して感謝した。彼はサマリア人であった。
17,すると、イエスは言われた。「十人きよめられたのではなかったか。九人はどこにいるのか。
18,この他国人のほかに、神をあがめるために戻って来た者はいなかったのか。」
19,それからイエスはその人に言われた。「立ち上がって行きなさい。あなたの信仰があなたを救ったのです。」

2018年5月2日水曜日

ルカ16:19-31

ルカの福音書
16章
19,ある金持ちがいた。紫の衣や柔らかい亜麻布を着て、毎日ぜいたくに遊び暮らしていた。
20,その金持ちの門前には、ラザロという、できものだらけの貧しい人が寝ていた。
21,彼は金持ちの食卓から落ちる物で、腹を満たしたいと思っていた。犬たちもやって来ては、彼のできものをなめていた。
22,しばらくして、この貧しい人は死に、御使いたちによってアブラハムの懐に連れて行かれた。金持ちもまた、死んで葬られた。
23,金持ちが、よみで苦しみながら目を上げると、遠くにアブラハムと、その懐にいるラザロが見えた。
24,金持ちは叫んで言った。『父アブラハムよ、私をあわれんでラザロをお送りください。ラザロが指先を水に浸して私の舌を冷やすようにしてください。私はこの炎の中で苦しくてたまりません。』
25,するとアブラハムは言った。『子よ、思い出しなさい。おまえは生きている間、良いものを受け、ラザロは生きている間、悪いものを受けた。しかし今は、彼はここで慰められ、おまえは苦しみもだえている。
26,そればかりか、私たちとおまえたちの間には大きな淵がある。ここからおまえたちのところへ渡ろうとしても渡れず、そこから私たちのところへ越えて来ることもできない。』
27,金持ちは言った。『父よ。それではお願いですから、ラザロを私の家族に送ってください。
28,私には兄弟が五人いますが、彼らまでこんな苦しい場所に来ることがないように、彼らに警告してください。』
29,しかし、アブラハムは言った。『彼らにはモーセと預言者がいる。その言うことを聞くがよい。』
30,金持ちは言った。『いいえ、父アブラハムよ。もし、死んだ者たちの中から、だれかが彼らのところに行けば、彼らは悔い改めるでしょう。』
31,アブラハムは彼に言った。『モーセと預言者たちに耳を傾けないのなら、たとえ、だれかが死人の中から生き返っても、彼らは聞き入れはしない。』」

2018年5月1日火曜日

ルカ16:1-18

ルカの福音書
16章
1,イエスは弟子たちに対しても、次のように語られた。「ある金持ちに一人の管理人がいた。この管理人が主人の財産を無駄遣いしている、という訴えが主人にあった。
2,主人は彼を呼んで言った。『おまえについて聞いたこの話は何なのか。会計の報告を出しなさい。もうおまえに、管理を任せておくわけにはいかない。』
3,管理人は心の中で考えた。『どうしよう。主人は私から管理の仕事を取り上げようとしている。土を掘る力はないし、物乞いをするのは恥ずかしい。
4,分かった、こうしよう。管理の仕事をやめさせられても、人々が私を家に迎えてくれるようにすればよいのだ。』
5,そこで彼は、主人の債務者たちを一人ひとり呼んで、最初の人に、『私の主人に、いくら借りがありますか』と言った。
6,その人は『油百バテ』と答えた。すると彼は、『あなたの証文を受け取り、座ってすぐに五十と書きなさい』と言った。
7,それから別の人に、『あなたは、いくら借りがありますか』と言うと、その人は『小麦百コル』と答えた。彼は、『あなたの証文を受け取り、八十と書きなさい』と言った。
8,主人は、不正な管理人が賢く行動したのをほめた。この世の子らは、自分と同じ時代の人々の扱いについては、光の子らよりも賢いのである。
9,わたしはあなたがたに言います。不正の富で、自分のために友をつくりなさい。そうすれば、富がなくなったとき、彼らがあなたがたを永遠の住まいに迎えてくれます。
10,最も小さなことに忠実な人は、大きなことにも忠実であり、最も小さなことに不忠実な人は、大きなことにも不忠実です。
11,ですから、あなたがたが不正の富に忠実でなければ、だれがあなたがたに、まことの富を任せるでしょうか。
12,また、他人のものに忠実でなければ、だれがあなたがたに、あなたがた自身のものを持たせるでしょうか。
13,どんなしもべも二人の主人に仕えることはできません。一方を憎んで他方を愛することになるか、一方を重んじて他方を軽んじることになります。あなたがたは、神と富とに仕えることはできません。」
14,金銭を好むパリサイ人たちは、これらすべてを聞いて、イエスをあざ笑っていた。
15,イエスは彼らに言われた。「あなたがたは、人々の前で自分を正しいとするが、神はあなたがたの心をご存じです。人々の間で尊ばれるものは、神の前では忌み嫌われるものなのです。
16,律法と預言者はヨハネまでです。それ以来、神の国の福音が宣べ伝えられ、だれもが力ずくで、そこに入ろうとしています。
17,しかし、律法の一画が落ちるよりも、天地が滅びるほうが易しいのです。
18,だれでも妻を離縁して別の女と結婚する者は、姦淫を犯すことになり、夫から離縁された女と結婚する者も、姦淫を犯すことになります。

復活

ルカ 24:1~8 1 週の初めの日の明け方早く、彼女たちは準備しておいた香料を持って墓に来た。 2 見ると、石が墓からわきに転がされていた。 3 そこで中に入ると、主イエスのからだは見当たらなかった。 4 そのため途方に暮れていると、見よ、まばゆいばかりの衣を着た人が二人《ふた...